聖夜編 悪魔の影と騎士の絵本 後編
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「こいつッ! ……はあぁッ!」
「ガァア……ァアッ!」
突如蘇り、背後から立ち上がって来た構成員。その影に気付いたヘレンは、咄嗟に後ろ蹴りを繰り出す。
条件反射で振るわれた長い美脚が、構成員の腹部に直撃した。その反動で、釣鐘型の爆乳と安産型の巨尻がどたぷんっと弾む。
「ウゴォアァ、アァッ……!」
「……ッ! こいつ、まだッ……!」
真凛に鍛え上げられたヘレンの蹴りは、並の人間なら一撃で昏倒する威力だ。しかし、突然変異を起こしたこの構成員を仕留めるには至らなかったらしい。
彼女の蹴りで吹っ飛ばされ、地を転がった構成員は、近くに居た警察官達に襲い掛かろうとしていた。
「う、うわぁああ! こ、こいつまだ生きてっ……!」
「う、撃て撃てぇえっ!」
「なっ……こ、こいつ効いてないのか!? 銃で撃たれてるのに、何で止まらないんだよっ!」
改造人間の「失敗作」ばかりが集まっているノバシェードにおいて、並々ならぬポテンシャルを有している数少ない個体。その一つだった構成員は、生ける屍のような挙動で警察官達に迫ろうとする。警察官達も咄嗟に拳銃で応戦するが、動揺しているせいで狙いが定まっていないのか、急所を外し続けていた。
「皆、危ないから下がって! ここは私達、ノバシェード対策室が引き受けるわ!」
「こういう輩の相手は……俺達の方が『専門』だからなァッ!」
だが、ノバシェード対策室の特務捜査官達は違う。即座に振り返ったヘレンとビリーは、凶悪な貌でこちらに迫って来る構成員に怯むことなく、冷静に愛銃を構え直している。ヘレンのワルサーPPKは眉間を、ビリーのコルトパイソンは心臓を狙っていた。
「ガァ、アッ……!?」
すると、その時。「赤い炎」と「蒼い氷」が突如視界に飛び込み、2人の眼前で爆ぜた。次の瞬間、構成員の身体が2度に渡り「痙攣」し、足を止めてしまう。まるで、何者かに「狙撃」されたかのような動きだ。
(……ッ!? 今のは何だッ!? しかも、奴の動きが……どういうことだ……!?)
(分からないけど……狙うなら今しかないわねッ!)
何が起きたのかは分からないが、これは確実に構成員を仕留められる最大の好機。決して外すわけにはいかない。ヘレンとビリーは互いに頷き合いながら、それぞれの愛銃の引き金に指を掛ける。
「ビリー!」
「分かってる、心臓は任せろッ!」
その直後、2人の銃口が同時に火を噴く。狙い澄ました一撃は二つの急所を瞬時に撃ち抜き、このゴミ捨て場を再び鮮血で染め上げていた。
「ヴガァアッ、ァッ……!?」
「……俺達からのささやかな『クリスマスプレゼント』だ。ありがたく味わいな、化物野郎」
ノバシェードに対抗するため、「禁じ手」である.44
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