第三十七章
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「僕だって渡さんとはずっとですから」
「そうだね。タツロットもだよね」
「その通りです。じゃあいよいよ」
「うん、行こう」
「はい」
こうして扉に手を当ててゆっくりと押していく。そうして開けたその扉をくぐる。中は黄色い石の壁に床で造られており部屋の奥にはドーリア様式を思わせる柱が何本かある。そして紅い絨毯が部屋の中央にありその先にある階段の上の玉座に。彼がいるのだった。
「来たか」
「キング・・・・・・」
「そうだ。俺だ」
人間の姿だった。あの時のまま黒と赤の服にその身を覆いそのうえで玉座にいるのだった。
「俺もまた蘇っていたのだ」
「スサノオの力によって」
「如何にも」
玉座に座ったまま紅を見下ろしつつ述べた。8
「その通りだ。俺の力もまたこれまでとは違う」
「そうだな。それは間違いないぜ」
「渡さん、感じますよね」
キバットとタツロットがここでまた紅に対して告げる。
「この気、尋常なものじゃないな」
「かつてのキングと全く違いますよ」
「うん、少なくとも倍以上はあるね」
紅もそれははっきりと感じ取っていた。
「これだけの気があるなんて」
「言っておくが逃げることはできない」
キングはここでまた紅に対して告げてきた。
「見よ」
「あっ」
キングの右手が彼の肩の高さに伸ばされたうえで掲げられるとだった。紅のすぐ後ろで開いたままであった扉が閉められてしまった。
「これでもう開くことはない」
「もう」
「そうだ。出たければだ」
キングの言葉がその閉じられた部屋の中で響き渡る。
「この俺を倒すことだ。そうすれば扉が開く」
「へっ、お決まりの展開だな」
「渡さん、やっぱり闘うしかないですよ」
「そうだね」
紅はここでまた彼等の言葉を受けて頷くのだった。
「それじゃあ。ここでもう」
「おう、最後の闘いだ!」
「やりましょう!」
「あの時の怨みここで晴らそう」
キングはこう言うとゆっくりと玉座から立ち上がるのだった。そうしてその姿を本来の姿に戻してきた。
漆黒のあの蝙蝠の姿だった。バットファンガイアの姿であった。
その姿になったうえで階段からゆっくりと降りて来る。そうしてそのうえでまた紅と対峙するのだった。
「今度は一人だ。勝てると思うな」
「いや、僕は一人じゃない」
紅はその手の剣を両手に持って己の顔の右に置きながら述べるのだった。
「キバットにタツロットがいる。一人じゃないんだ」
「渡、御前」
「渡さん・・・・・・」
「一人じゃない。だから負けない」
言いながらキングを見据え続けていた。
「絶対に。勝てる」
「面白い。なら言葉を訂正しよう」
キングは余裕を以ってまた紅に対して応えてきた。
「何人いようが俺には勝てはしないとな。今
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