第三十六章
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「御前は俺が倒す」
「サガか」
アークはその登を見下ろして言ってきた。
「その力で俺は倒せないことは言っておく」
「じゃあ皆、悪いけれど」
紅は彼等の心を受けて今前に踏み出した。
「頼むよ、ここは」
「うん、パパ」
「早く行きなさい」
「俺には構うな」
三人もまたこう言ってその紅を行かせる。彼はそのまま駆けて部屋を出てそのうえで廊下を突き進む。そこは左右に不気味な石像が立ち並ぶ不穏な廊下だった。
「何かよ、ここってよ」
「そうですね。今にも何か出てきそうな」
その石像を見ながらキバットとタツロットは紅に言ってきた。
「けれど何か出ることはなさそうだな」
「王の前に出て来るってことはないのかな」
「そうみたいだね」
紅はそう見ているのだった。
「どうやらこのまま王と」
「王・・・・・・あいつか?」
キバットはここでかつての王のことを思うのだった。
「あいつが出て来るのか?やっぱり」
「そうじゃないんですか?」
タツロットがまた彼に問う。二匹で紅の腰と右肩において話をするのだった。
「あの蝙蝠のな」
「キバットさんとはまた違った蝙蝠で」
「倒すよ」
紅は話を続ける彼等に対して廊下を進みながら告げた。顔はただ正面を向いている。
「あの王でも僕が」
「スサノオの力を受けていてもか?」
「やるんですね」
「それは名護さんも兄さんも同じだから」
こう返すのだった。
「そして正夫もね」
「まあそれはそうだよな」
「ええ。スサノオの力を受けて強くなっているのは」
あの三人が同じならば。彼等もそうだと考えることこそが妥当であった。
「だったらよ。渡」
「もう何が何でも」
「倒すから。この僕が」
話しているうちについに辿り着いた。その王の部屋の前に。
「行くぜ、遂にな」
「いいんですね。それで」
「うん」
また彼等の言葉に頷いた。その重厚な赤い、さながら鮮血の如き色の扉を前にして。
「行くよ。キバットもタツロットもそれでいいよね」
「俺の命なんてな」
キバットは今の紅の言葉に応えて言ってきた。
「御前に最初から預けてるんだよ」
「キバット・・・・・・」
「覚えてるだろ?まだ赤ん坊の御前にはじめて会って」
「あの時だよね」
話は彼等の出会いの時にまで遡るのだった。
「あの時にキバットと出会って」
「もうあの時に決めてあったんだよ」
キバットはこう彼に話すのだった。
「御前とずっと一緒だってな」
「有り難う」
「おいおい、礼なんかいいんだよ」
それもいいとさえ言うのだった。
「俺と御前の仲だろう?だからな」
「うん」
「生きる時も死ぬ時も一緒なんだよ」
こうも紅に告げる。
「それでいいな」
「わかったよ。じゃあずっと一
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