第百一話
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第百一話 食後も読書
博士は小田切君が作った中華料理をデザートの果物まで赤ワインを飲みつつ楽しんだ、そうしてからだった。
小田切君にだ、こう言ったのだった。
「では風呂に入ってな」
「それからですか」
「書斎に入ってじゃ」
そうしてというのだ。
「読書じゃ」
「夜もですか」
「うむ、それを楽しんでな」
そうしてというのだ。
「十二時前には寝る」
「そうされますか」
「今日はどうもな」
博士はさらに言った。
「夜も本を読みたくてな」
「そうされますか」
「書斎にある本は全て読んでおるが」
「相当ありますよね」
「あと実は地下はシェルターになっておってな」
博士は小田切君に研究所のこの秘密のことを話した。
「そこにアレクサンドロス図書館の本を丸ごとじゃ」
「置いてあるんですか」
「全て写本してな」
そうしてというのだ。
「持っておるが」
「地下に補完していますか」
「他にも色々な書を持っておる」
アレクサンドロス図書館にあったもの以外にもというのだ。
「失われたものも多い」
「世間ではそう言われている本もですか」
「あるのじゃ」
「相当凄いもの持ってますね」
「だから何か知りたいならな」
そう思えばというのだ。
「わしのところに来ればいい」
「失われたとされる本があるからですね」
「そうじゃ、だからな」
その為にというのだ。
「わしのところにな」
「来ればいいですか」
「来る者は拒まぬ、何でも読んでじゃ」
そうしてというのだ。
「知識を得るのじゃ、わしもそうしておるしな」
「博士ご自身もですか」
「新しい本があれば買ってな」
「読まれていますか」
「だから本屋にも行っておる」
こう小田切君に話した、そして書斎に入って本を読んで学ぶという博士にとってはこれ以上はないまでに楽しい夜を過ごすのだった。
第百一話 完
2023・9・29
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