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色々と間違ってる異世界サムライ
第9話:勇者の計算外その2
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ここで転ぶわけにはいかない。
僕は全てを手に入れるんだ。
もし邪魔する者がいるのなら確実に殺す。
「セイン、私は一度国へ戻って仕切り直す方が良いと思うの」
「理由を聞こうか」
「私達の予定は全て、聖剣を所有している前提で立てられているわ。でも失敗した現在、このまま先へ進むのは危ういと思うの。まずはプランの練り直しが先決じゃないかしら」
リサはもっともらしい事を述べる。確かにその通りだ。
だが、それは僕が国王に失敗しましたと頭を下げなければならない事を意味する。
冗談じゃない。どうしてそんな羞恥に耐えなければならないんだ。
聖武具なら他にもあるじゃないか。なんならそれを取りに行けば良い。
幸い最も近い場所は、アルマンを横断した先にある。
少し失敗したが、まだまだ取り戻せる段階だ。
今度こそ盛大にデビューを飾ってやろうじゃないか。
「そういえばさ、この先にアイナークって街があったじゃん。そこに大きな未探索の遺跡があったはずだから、すんごいお宝見つけてデビューを飾ろうぜ」
「それは名案だね。もしそこを踏破する事が出来れば、きっと注目を浴びるに違いないよ。勇者が作る話題としては充分だ」
3人は結論は出たと揃って了承する。
けど、気になるのは異世界からやって来て聖剣を奪った凶悪大量殺人鬼である『ツキツバ・ギンコ』の動向だ。
この先で今までと同じ事が起きないとも限らない。
さすがにあの遺跡は領主の許可が必要なので潜っていないと思うが、2度起きた事は3度起きる、ここは急いでアイナークへ向かうべきか。
まったく忌々しい殺人鬼女め。
宿で女共をのんびり抱いている暇も無い。

「なんと……おっしゃったのでしょうか……」
「だから遺跡は踏破された」
ロアーヌ伯爵の言葉が理解できず意識が虚ろとなる。
聞いた話では、ツキツバ・ギンコが街に訪れ魔王軍の幹部を倒したそうだ。
しかも未探索だった地下遺跡を短期間で踏破し、さらに貴重な遺物を山のように見つけて地上に戻ってきた。
街の住人も伯爵も、この街の全ての存在がツキツバ・ギンコを称えていた。
「あら、お父様。ここにいらしたのですわね」
「マリアンヌか」
部屋に美しい女性が入ってきた。
豊満な胸が歩く度にゆさりと揺れ、僕の性欲を激しくかきたてる。せめて、この女だけでも僕の物に。
誘惑の魔眼で女の目を見つめる。

《警告:魔眼所有者よりもレベルが上である為、効果を及ぼせません》

僕の魔眼が……きかないだと?
またもや愕然とした。
僕の魔眼は、対象者が自身よりレベルが低い事が使用の条件だ。
つまり目の前の女は手に入れられない。
怒りで歯噛みする。
「殺気が漏れてますわよ」
「!?」
目の前に切っ先を向けられていた。
この僕がいつ抜いたのかも分からなかった。
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