第9話:勇者の計算外その2
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門番perspective
ルンタッタのダンジョンが難易度高めで未踏破と言う噂が流れた途端に、それを聞いた脳筋冒険家達が名を上げようと次々と中にズカズカと入って往って……その中の何人かが死亡してしまい、お陰で俺の様な鑑定スキルを持つ兵士がダンジョンの出入口に立って入場制限する事になってしまった。
だが、ツキツバ・ギンコがたった2日で踏破し、ノノ・メイタが自分のレベル最大値を激増させようとほどんどの宝箱を開けてしまったお陰で、ダンジョンの挑戦価値が大幅に減衰し、俺の肩の荷も大分楽になった。
ツキツバさんがダンジョンを踏破して2週間後までは……
「やぁ、『白ノ牙』なんだけど、ルンタッタには難易度高めの未踏破ダンジョンが存在するらしいね?」
……なんかカッコつけている様だが、噂は聞いていないのだろうか?
「何で今日来たの?」
すると、ホワイトファングを名乗る冒険家集団のリーダーと思しき男は申し訳なさそうにこう答えた。
「リビアで極刑級の大窃盗が遭ってね、その事件の調査に付き合わされてね、お陰で此処に来たのが今日にずれ込んだんだ。悪いね」
「つまり、ルンタッタのダンジョンについて何も聞かされていないって事か?」
その途端、随分要領を得ない答えを堂々と吐く愚者を診るかの様にその男は俺を見た。
「……もしかして僕が誰だか分かってないのかな?」
何故か自己紹介(?)を始めたと言う事は、ルンタッタのダンジョンについて何も聞かされていない証拠なのだろう?
「貴方が誰であろうと、このダンジョンが現在どうなっているのかはまったく変わりません」
この段階で、男は既にイライラしていた。
「Sランクパーティーのセインだ! 勇者に選ばれた男だよ!」
「勇者セイン!?」
勇者セインと言えば、ルンタッタのダンジョンへの無謀な挑戦者の激減に大きく貢献してくれた3人組の1人であるノノ・メイタが憧れていた勇者の名前が……そんな名だった気がするが……
が、勇者セインを名乗る男は、俺に考え事させる暇を与える気は無い様だ。
「僕が誰か理解した様だし、そろそろここを通してくれるかな?」
と言うか、俺の話を聞いて欲しいのだけど……
「はぁ!?ルンタッタのダンジョンが踏破された!?」
勇者セインを名乗る男は俺の話を聞いて愕然とする。
「しかも、宝箱もほとんど開封されており、戦闘練習以外の価値はほとんど無いかと―――」
おい!
こいついきなり俺の胸倉を掴んで持ち上げたぞ!?
「その3人組の中に、聖剣を持ってる女はいたか?」
も……持ち上げられながらか?
これは質問か?それとも尋問か?もしかして脅迫か?
と言うか……言わなきゃ殺される……気がする……
「ツキツバさんです。ツキツバ・ギンコさんが―――」
「ツキツバ・ギン
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