冬への逆行
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ながらも、ダメージはごくわずか。
「ちぃ……魔法使いの次は氷女か! とんだ厄日だな!」
アルゴスはそう叫び、目から光を放つ。
フラッシュによる目潰しだったが、彼が何かの動きを見せるよりも早く、女性の目の前に氷の壁が生えてくる。
それは光を霧散させ、その威力をゼロにしていく。
さらに、氷の壁より真っすぐ氷柱が伸びる。ウィザードとアルゴスを串刺しにしようとするそれに対し、ウィザードは指輪を発動した。
『ディフェンド プリーズ』
炎の魔力を込めた防御の魔法。
すると炎が壁となり、氷柱が接触と同時に蒸発する。アルゴスはそれを利用し、ウィザードの背後で安全を確保している。
「……」
じっと炎の壁を見つめる氷結の女性は、静かに手を伸ばす。
すると、無数の氷弾が彼女の周囲に並び立つ。
「……なんじゃありゃ」
ウィザードが思わず声を零す。
伸ばした手が下ろされるのが合図となり、氷の弾丸が猛烈なスピードとともにウィザードとアルゴスへ降り注いでいく。
今度はディフェンドの防御だけでは心もとない。そう判断したウィザードは、防壁を解除し、二本の剣で氷の弾丸を斬り落とす。さらに、あふれ出る炎の魔力が、その余波で氷弾を焼き尽くしていく。
一方のアルゴスも、上空へ無数の眼球を飛ばす。同じく無数の光が発射され、上空の氷と打ち合う。
「ぐっ!」
ウィザードは地面を転がり、爆発の余波より離れる。
同時に、ウィザーソードガンの手を開き、その魔法を発動させた。
『キャモナシューティングシェイクハンド キャモナシューティングシェイクハンド』
ウィザーソードガンの詠唱。同時に、ルビーの指輪を押し当てる。
『フレイム シューティングストライク』
「はああああっ!」
燃え盛る銃口を上空に向けて発射。
すると、ドラゴンの形をした炎が銃口より発射される。それは大きく吠えながら、氷の雨を一気に蒸発させていく。
『ボー ボー ボー ボー』
さらにウィザードは、ウィザーソードガンを振り下ろす。
すると、銃口から繋がる炎の竜は、同時に地面へとその身を打ち付ける。
アルゴスと氷結の女性を巻き込む炎。氷は瞬間的に昇華、アルゴスの眼球も一気に焼け落ちる。
敵対する二人の動きが鈍っている今こそが勝機。そう判断したウィザードは、すぐに腰のホルスターの指輪を取り外す。
氷結の女性以上にウィザードが狙うのは、当然。ファントムであるアルゴス。
「ちぃ……グール共!」
アルゴスが助けを求めるように魔石を放る。
そして現れるグールたち。だが、ウィザードへその刃を突き刺すよりも先に、その灰色の体が水色の水晶に閉ざされていく。
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