【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
【第4節】アインハルト、大叔母との会話。
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だんだん人づきあいとかも億劫になって行くのかしら? 何だか性格も、年を追うごとにますます気むずかしくなっちゃって……今ではもう、ずっと家に閉じこもって、私以外の人間は誰も家に上げてもらえない、という状況なのよ」
「他の人は、みな門前払い、ということですか?」
ドーリスは小さくうなずき、言葉を続けました。
「今も食材だけは週二回、宅配業者に玄関脇まで運ばせているという話だけどね。姉さんは料理が趣味だから、今でもきちんと食べてはいるはずなんだけど……もう掃除や片づけをする気力は無いみたいで……。
私も、今いる家から実家まではとても歩いて行ける距離じゃないから、週一回ぐらいしか顔を出せていないんだけど……最初は庭が荒れ始めたと思ったら、数年前からはもう部屋の中も平気で散らかすようになっちゃって。今では……決して『ゴミ屋敷』というほどの状況ではないんだけど……もう部屋も廊下も階段も足の踏み場が無いほどなのよ」
ドーリスは、もう本当に困っている、という表情です。
「だから……もし本当にあなたに譲るべきモノがあの家に在るのだとすれば、それは必ず『父さんの書斎』にまとまった形で在るはずなんだけど……あの書斎にたどり着こうと思ったら、二階の奥だから、まず、あの階段を攻略しないといけなくて……」
(攻略って……。それは、やはり、すでに「ゴミ屋敷」なのでは?)
アインハルトはごく自然に、そう思いました。彼女はまだ「本物のゴミ屋敷」がどれほどのモノかをよく知らないのです。
「それでは、今はもう誰も二階に上がれないような状態なんですか?」
「ええ。姉さん自身も、もう何年も前に二階からは撤退して、ずっと一階だけで生活しているわ。私も一人でたどり着けるとはとても思えないけど、私以外の誰かが家に入ろうとすると、姉さんは狂ったように叫び始めるし……」
「では、本当に誰も入れないと?」
「あそこは法的にも姉さんの私有地だからね。姉さんの許可なく入れば、たとえ身内のあなたでも不法侵入になるわ。法的な根拠に基づいた強制執行でも無い限り不可能よ」
(ええ……。そこまで……。)
「嫌な言い方をすると、あの姉さんが入院でもしてくれれば、私も業者を呼んで掃除させることができるんだけどね。姉さんもまだ67歳だから、少し足腰が弱って来ているとは言うものの、正直なところ、一体あと何年かかるのかは、私にもまだちょっと見当がつかないわ」
「そういう事情では、『なるべく急いでくれ』とも言えませんねえ……」
「ごめんね。確かに困った人ではあるけれど、私も小児の頃は本当に世話になったし……私も、この齢になったからと言って、姉さんの気持ちを土足で踏みにじるという訳にもいかないのよ」
「それは……まあ、そうでしょうね」
「その代わり
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