【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
【第4節】アインハルト、大叔母との会話。
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のなら、三人とも今すぐに絶縁のための書類に署名をしなさい』
そう言って、法務官に法律の上で必要な書類をすべて用意させて、本当にその場で縁を切って、自分だけ一足先に家へ戻ると、すぐに引っ越し業者を呼んで、自分の持ち物だけを手早くまとめて実家に送らせて、もう息子たちとは二度と顔を合わせないように、その日のうちにレールウェイで実家に戻って来ちゃったのよ」
(ええ……。)
実際にそういう先例が身近にあったのなら、先程、アインハルトが絶縁の話を持ち出した時に、ドーリスが本当に嫌そうな表情を浮かべたのも納得できます。
「うちの実家は、アンクレス地方の中でも少し田舎の方で……もう70年ちかくも前に、先祖伝来の土地に、父さんが新たに建て直した『それなり』のお屋敷なんだけどね。
父さんと母さんも当時、相当に余裕のある老後を送っていたから、いい齢をした居候が一人増えたところで何も困りはしなかったみたいで……。
結局のところ、『その土地と屋敷は、他に行き場が無くなった姉さんに単独で相続させる』という話になったのだけれど……まあ、私も夫のおかげで『親の金など当てにしなくても大丈夫』と言える程度の生活は一応できていたし、兄さんも常々『自分は親不孝者なので相続権を放棄する』みたいなことを言っていたし……私も兄さんも、その話それ自体には特に不満など無かったわ。
でも、次の年には、兄さんに最終的な確認を取るために……あと、ラルフやゲオルグ君にも何か伝えておかないといけないことがある、とか言い出して……父さんと母さんはエアルートで首都圏に飛んで、いきなりあの空港火災事故に巻き込まれたのよ」
どうやら、ドーリスは記憶継承に関しては、特に何も聞かされてはいなかったようです。察するに、イングヴァルト家では、ハインツ以降、男系の男子だけに語り継がれて来た「秘密」だったのでしょう。
アインハルトは、あくまでも例外的な存在であり、「男性であるクラウスの記憶を、女子が継承する可能性」など、誰一人として真面目に考慮して来なかったのです。
「あれだけの事故を起こしておいて、医療費以上の補償金は何も出ないって言うんだから、管理局の経理も渋いわよねえ」
ここで不意に、ドーリスは話の本筋には何の関係も無い愚痴を差しはさみました。
(原則として、『ロストロギア関連の話は、局の情報統制により、一般市民には知らされない』ということになっているのです。この時点では、アインハルトもまだ、あの事故の原因がレリックであったことを知らされてはいません。)
「前置きが長くなっちゃったけど、そんな訳でね。父さんと母さんが亡くなってから、あの実家には、姉さんがもう13年もずっと一人きりで住んでいて……やっぱり、一人暮らしが長く続くと、
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