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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
 【第4節】アインハルト、大叔母との会話。
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つ準備されていた、ということだったのでしょうか?)
 あるいは、エーリクやラルフたちが気づいていなかっただけで、イルメラやローザもハインツの遠い子孫だったのかも知れません。

 そこで、アインハルトは「五年前のファビアとの会話」なども思い起こしながら、再び大叔母にちょっとした要望を伝えました。
「それから……念のために、もうひとつお()きしますが……ニコラスさんか、ハインツか、あるいは誰か「ハインツの直系の子孫」にあたる(かた)の、『手記』のような『直筆(じきひつ)の文書』は何処(どこ)かに残ってはいませんか?
 あなたたちが、姉妹そろって『もう「覇王流」にも「イングヴァルト家」にも(かか)わり合いにはなりたくない』と(おっしゃ)るのなら……そして、もしそうした『直筆の文書』や『イングヴァルト家の系図』のようなものが現存しているのなら……是非とも、私にお譲りいただきたいのですが」
 すると、ドーリスは少し困ったような表情を浮かべてから、こう応えます。
「譲るのは、一向に構わないんだけど……それって、急ぐ話かしら?」
「いえ。特に急ぎませんが?」
 アインハルトが疑問形で話の先を(うなが)すと、ドーリスはひとつ大きく溜め息をついてから、こう白状しました。

「身内の恥をさらすような話になっちゃうんだけど……私たちの実家には今、姉さんが独りで住んでいてね。ちょうど、父さんたちが亡くなる前の年だったかしら? 姉さんは五十を幾つも過ぎてから、突然、夫に先立たれて一人で実家に戻って来ちゃったのよ」
「お子さんとかは、いらっしゃらなかったんですか?」
 アインハルトの「当然の質問」にも、ドーリスは思わず顔をしかめながら、どっと溜め息をつきます。
「姉さんは『ちょっとした小金(こがね)持ち』と結婚して、男の子ばかり三人産んだんだけどね。その息子たちというのが、また揃いも揃って、父親に似て欲の深い子たちで。父親が死ぬなり、母親をも巻き込んで遺産の相続額でモメ始めたのよ」

「それで、姉さんも仕方なく、法務官を(まじ)えて『公式の話し合い』の席を(もう)けたのだけれど、そこで息子たちが共謀して、母親の取り分を削る方向に動いたものだから……多分、前々からいろいろと息子たちに対する不満や鬱屈(うっくつ)()まっていたんでしょうね。姉さんもとうとうその場でキレちゃって。
『そんなに父親の遺産が欲しいのなら、いいでしょう。私はこの場で夫の遺産の相続権を放棄するから、あとはお前たち三人で話し合って、好きなように分け合いなさい。
その代わり、私の個人財産も私の両親の財産も、お前たちのような親不孝者には一切(いっさい)分け与えません。私はこの場で「法定絶縁制度」を利用し、お前たちとは親子の縁を切ります。そんなにも多くの取り分が欲しい
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