【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
【第4節】アインハルト、大叔母との会話。
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た』みたいに感じたんでしょうね。兄さんは父さんと大ゲンカをした後、妻子を連れて家を飛び出し、故郷から遠く離れた首都近郊に引っ越しちゃったのよ。
それで、『首都圏に道場を開き、覇王流の名を広く世に知らしめる!』とか言い出して……若い頃には、用心棒とかで随分と危ない橋も渡って荒稼ぎをしていたみたい。
でも、『息子のラルフには、自分ほどの才能が無い』と解ったからかしら。それとも、ただ単に『充分には資金が貯まらなかった』というだけのことだったのかしら。結局、『道場を開く』という夢は叶わなかったみたいね」
アインハルトが憶えている限りでは、祖父エーリクも祖母イルメラも、家の外で働いたことなど一度もありませんでした。それにもかかわらず、八年間も三人で「それなりに」余裕のある生活ができていたのは、察するに、道場開設のために貯めた資金をゆっくりと食い潰しながら暮らしていたからだったのでしょう。
残った資金は、当然ながら「遺産」として、アインハルトが五年前に相続した訳ですが、それは相続税などをすべて差し引いても、『彼女一人なら、まだ十年や二十年は余裕で暮らしていける』というほどの額でした。
(私も自分で『何故こんなにも多額の遺産があるのか』と不思議に思っていましたが……さては、そういうことだったんですね。)
アインハルトにとっては「長年の疑問」がひとつ解消された形です。
「あと、母さんは……この話は、あまり他人には言わないようにしてほしいんだけど……父さんの従妹だったそうよ。苗字も最初から『ストラトス・イングヴァルト』で……。
あえて悪く言うなら、あの頃すでに『もう同族ぐらいしか、結婚相手が見つからない』といった状況だったんでしょうね。やっぱり、今時はもう家格なんて気にしてちゃいけないのよ」
イトコ婚は、古代ベルカではごく一般的なものでした。ミッドチルダでも、これが法的に規制されたことは一度も無く、現在でも、法律で禁止されているのは「三親等以内の近親婚」だけです。
それでも、近年は「近親婚による遺伝的な弊害」が過大に喧伝された結果、多くの管理世界において、一般に『イトコ婚は近親婚の一種であり、避けた方が良い』と考えられるようになってしまっていました。要するに、「法律的にはセーフでも、世間的にはアウト」という感覚です。
だからこそ、ドーリスは、あたかもそれが恥ずかしいことであるかのような言い方をした訳ですが、アインハルトには、クラウスの記憶のおかげでしょうか、幸いにもそんな感覚はありません。
実のところ、アインハルトが抱いた感想は、全く別種のものでした。
(もしかして、私の「先祖がえり」も、祖父の代から少しず
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