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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
 【第4節】アインハルト、大叔母との会話。
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警戒するような表情を浮かべましたが、アインハルトの次の言葉で、その警戒心は一気に解け落ちます。
「私の母というのは、一体どういう人だったんですか?」
「……そうか。まだ四歳だったから、あなたはもうほとんど覚えていないのね」

 アインハルトが小さくうなずくと、ドーリスはたっぷり3秒ほど考えてから、こう答えました。
「いい人だったわよ。少なくとも、あのラルフには勿体(もったい)ないぐらいの女性だったわ」
「素性などは御存知ですか? 私は祖父からも祖母からも、父系の話はよく聞かされましたが、母や祖母や曾祖母については、出自などを全く聞かされていないのです」
「あら、そうだったの」
 彼女も決して「根が悪い人」ではないのでしょう。ドーリスはまたちょっと考えてから、自分の孫姪(まごめい)に向かって親身(しんみ)な口調でこう答えました。
「そうね。ローザさんは……平たく言うと、身寄りの無い孤児だったわ」
「孤児、ですか?」
「私もそれほど詳しく聞いてはいないんだけど、生まれは自治領の奥の方で、血筋も純血のベルカ人だったそうよ。確か……新暦35年にごく普通の家庭に生まれたけど、三歳の時に両親が事故で亡くなり、すぐに教会系列の孤児院に預けられて……そこで育ってそのまま教会に入って、一度はシスターになったけど、『運命の出逢い』を経て26歳で還俗(げんぞく)して同い年のラルフと結婚した、という話だったんじゃないかしら」
「還俗……。なるほど、そういうのもあるんですね」

「それから、イルメラ義姉(ねえ)さんも『天涯孤独』の身の上でね。確か、ずっと母子家庭で育って、ようやく教職に()いて兄さんと結婚した直後に、その母親とも死別したんじゃなかったかしら。あなたもよく知っているだろうけど、本当に、あの兄さんには勿体(もったい)ないぐらいの、いい人だったわよ。父さんだけは最初のうち、『家格が違い過ぎる』とか言って、結婚に反対していたみたいだけど」
「では、ニコラスという(かた)は、『家格』とか『王家の血筋』とかに、割と(こだわ)りのある人だったんですか?」
「そうね。私も父さんのことまで悪く言うつもりは無いけど、確かに、若い頃には、そういう時代錯誤的なところもあったと思うわ。でも、ラルフが生まれた頃から……だったかしら? 言うことが随分と丸くなって、そのうちに『今の世の中で、覇王流を次の世代に継承させてゆくことになど、一体何の意味があるのだろうか』とか言い出しちゃって」
(ええ……。ニコラスって記憶継承者ですよね? そんな人が、何故(どうして)そういうことを……。)

「兄さんは小さい頃から覇王流をガンガン叩き込まれて、なまじ才能があったから、それ一辺倒に育っちゃった人で……。だから、父さんがそんなことを言い出した時には、『父親に裏切られ
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