【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
【第1節】新暦82年の出来事。(前編)
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歳)の方から積極的に声をかけて来てくれたのは、まさに願っても無い展開でした。
相手が非常に好意的な態度なので、思い切って「お願い」をしてみると、ファトラは一瞬の躊躇も無く、快諾してくれます。
「実は、いろいろあって先月の末から『四か月の長期休暇』を取ったんですが……正直なところ、もう早々と暇を持て余してしまっているんですよ」
訊けば、彼女の実家はヴァゼルガム地方の中南部にある大きな牧場で、彼女自身も今はそちらで寝泊まりをしている、とのことでした。
「私も、朝晩には毎日、実家の仕事を少しだけ手伝わなければいけませんし……クラナガンでは、人目も気になるでしょう。もし良ければ、私の実家の方で練習してみませんか。都市部でもなく、丸ごと私有地ですから、牧場の敷地内を飛び回る分には、わざわざ当局に申請して飛行許可など取る必要もありませんよ」
申請の手間を省くことができるというのは、確かに魅力的な話です。
念のため、アインハルトは具体的な場所を尋ねてみました。
「ここからだと、中央幹線で北上し、ゼガラム駅でローカル線に乗り換えて、東へ四つ行ったところが最寄り駅です。急行は止まらない駅なので、乗り継ぎに少し待ち時間が必要になりますが、昼間なら、ここから二時間もはかかりませんよ。もちろん、その駅からは車で送迎します」
アインハルトも、普段から聖王教会本部へ行くには中央幹線を利用しているので、ゼガラム駅の場所ならば解ります。
「それでは、何曜日なら御都合がよろしいでしょうか?」
「休暇中はずっと時間が空いていますから、毎日、通って来てくれても構いませんし、どうせ部屋も余っていますから、何なら泊まり込みで長期滞在してくれても構いませんよ」
「そこまで言っていただけるのは、本当にありがたいのですが、平日はまだ学校がありますので、さすがに休み続ける訳には……」
アインハルトが、いかにも申し訳なさそうな口調でそう言うと、ファトラは一瞬だけ不思議そうな表情を浮かべてから、一転して少し慌てた口調で応えました。
「ああ、そうか! 高等科にまで進学しているんですね。……すいません。私は自分が中等科しか出ていないものですから、15歳と聞いて、てっきり『もう教育課程は修了したのだ』とばかり思い込んでいました」
こうして、アインハルトは、これからIMCSの地区予選が始まるまで三か月あまりの間、『毎週五曜日の午後にはファトラの実家を訪れて泊まり込み、六曜日は朝から晩まで空戦の基礎訓練をする』という生活を続けることになったのでした。
(平日には、もちろん、ジムの方でIMCS選手としての鍛錬も続けています。)
あまりにも自分にばかり都合の良い状況なので、アインハルトも2週目には
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