第三部 1979年
曙計画の結末
美人の計 その3
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。
括れた腰や豊かな尻も補正下着をつけて、なるべく平坦に作っていた。
無論、マサキは、そんな事は知る由もない。
彼は、美久や八卦衆の女幹部を作る際に、グラビアモデルを参考にして造形した節があった。
卑近な言い方をすれば、出る所が出て、締まるところが締まっている体つきを目標とした。
マサキは美久を豊満な方とはみなしてはいなかったが、それは設計者としての面が大きい。
彼女の体格は、非常に均整の取れたもので、1970年代の日本女性の水準では十分な巨乳の部類だった。
体のラインを強調する、鉄甲龍のボディコンシャスな支那婦人服の幹部制服を着ても、恥ずかしくない様に女性の黄金律である「1:0.7:1」の比率で作り上げていたのだ。
マサキ自身、この見合いに乗り気ではなかったのもあろう。
内心ではそんな風にマサキは考えていたのだが、流石に口には出さなかった。
彼は、ひどく単純な快楽主義者といったような男ではなかったからだ。
それのみでない。
マサキは、自分の不人望を知っている。
昨日まで友と頼ったものに裏切られ、己の信じた正義も、ある日を境にすべてが悪に変わった日々を。
愛など、夢など、希望だのはとうの昔に捨て去ったのに……
人間を超越する存在になるべく、無敵のマシン・天のゼオライマーを建造し、世界征服を企んだのに。
なぜだろう。
マサキは、心の中で自問自答していた。
全世界を征服し、冥王となるべくしてこの世界に復活した自分が、どうしてアイリスディーナという少女にだけ、やさしくなれるのだろうか。
人間が、人間の女など汚らわしいだけの存在であり、肉欲を充足させるだけにあればいいとしていた。
事実、自分は前世において、そうやってふるまってきたではないか。
彼女が、愛というものに苦しんでいたからかもしれない。
その苦しみを、自分の力で取り除いてやったからではないか。
それこそ、美久のようなアンドロイドに、魂を入れてやったように……
結果的に、見合いはマサキの意向で断ってしまった。
彼は、日頃の疲れをいやすために、京都からほど近い有馬温泉に来ていた。
露天風呂付きの旅館を取って、美久と一緒に一泊二日の小旅行をすることにしたのだ。
露天風呂から見る月は、ちょうど満月であった。
マサキは、露天風呂のへりに寄りかかりながら、腰のあたりまで湯につかっていた。
後ろにいる美久も、同じように湯船につかっている。
ふと、マサキは振り返り、美久の裸身をまざまざと見た。
こうしてみると、全く人間と変わらない。
風は冷たいが、温泉からは限りなく湯気が立っている。
湯けむりが立ち込めて、真冬の寒さを緩和してくれている。
温泉の熱さと、降り積もった雪による冷たさを堪
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