第百二十八話 酒も飲んでその十一
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「世の中に宣伝してるのよ」
「そうなのね」
「そんな人よ」
「人の失恋を嗤う様な人は」
「だからね」
それでというのだ。
「気にすることはないわ」
「まともな人じゃないから」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「咲ちゃんは嗤わない、嗤われても気にしない」
「失恋については」
「そうすることよ」
こう言うのだった。
「いいわね」
「わかったわ、失恋はそうしたものね」
「そうよ、嗤う人は碌なものじゃない」
「そのことを頭に入れておくことね」
「私そのお話聞いて」
入れ墨のそれをというのだ。
「人の失恋嗤う人は碌なものじゃないってね」
「お姉ちゃんはわかったのね」
「わかったわ」
はっきりと、とだ。咲に話した。
「その時にね」
「そうよね、人の不幸を嗤うなら」
「碌な人じゃないわよ」
「そうよね」
咲もそれはと答えた。
「本当に」
「だから咲ちゃんも嗤わないの」
「それが大事ね」
「そうよ、失恋の痛さわかったでしょ」
「今ね」
咲は飲みながらまさにと答えた。
「それは」
「だったら自分はね」
「嗤わないことね」
「自分が痛いってわかったら」
そうしたことはというのだ。
「絶対にね」
「他の人にはしない」
「それが人間よ」
「そうよね」
「それは守ってね、人間ってね」
愛は話を続けた。
「自分が経験してわかるのよ」
「経験ね」
「そう、経験して」
そしてというのだ。
「わかるから」
「それでなのね」
「こうした失恋もね」
これもというのだ。
「いいことよ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「忘れても」
「経験は大事にすることね」
「そうよ、失恋は忘れてね」
「けれど経験はなのね」
「積んでね、いいわね」
「矛盾してない?」
咲は忘れても経験は大事にと言われて愛に問うた。
「それって」
「ええ、矛盾してるわ」
愛もその通りだと答えた。
「失恋は忘れて前向きにならないと」
「けれど失恋の痛みがわかったら他の人がそうなっても嗤わないって」
「そうよ、けれどね」
それでもというのだ。
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