第百二十八話 酒も飲んでその九
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「ずっと傍に確かなお友達がいてくれて」
「裏切る人達がいても」
「傍にいてくれてる人もいてくれて」
そしてというのだ。
「今はご家族にもね」
「恵まれていて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「幸せみたいよ」
「それは何よりよ、というかね」
「そうであるべきなのね」
「また言うけれど失恋はなんかよ」
そう言っていいものだというのだ。
「そうこうしたことをして」
「忘れ去るものね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そうしたものでね」
「私今度はそんな失恋したら」
「その時は今回以上にお風呂に入って」
「飲むことね」
「そうして忘れることよ」
愛は今も飲みつつ咲に話した。
「いいわね」
「そうするわね」
咲もそれならと応えた。
「その時は」
「私もよ」
「お姉ちゃんもなの」
「私もそうした酷い失恋するかも知れないけれど」
それでもというのだ。
「その時はね」
「お風呂入って」
「そして飲むわ」
「そうするのね」
「ええ」
絶対にというのだ。
「そうするわ」
「だったらその時は」
咲は愛の言葉を聞いて真剣な顔で返した。
「私が聞いていい?」
「聞いてくれる?」
「今日はお姉ちゃんが聞いてくれてるから」
だからだというのだ。その時はね」
「それじゃあね」
「その時はなのね」
「私がね」
「お互い様ね。じゃあ頼むわね」
愛は笑顔で応えた。
「その時は」
「それじゃあね」
「ええ、それでかなり楽になったみたいね」
「お風呂とお酒でね」
まさにとだ、咲は答えた。
「本当にね」
「それは何よりよ」
「そうよね、最初の落ち込みが」
それがというのだ。
「かなりね」
「なくなったのね」
「そうなってきたわ、今日のことなのに」
「それならいいわ、本当に下手したら一生ね」
「失恋は引き摺るから」
「最悪自殺だってするし」
それが文学にもなったりする、ゲーテの代表作の一つである若きウェルテルの悩みにしても然りである。
「重いものなのよ」
「決して馬鹿には出来ないわね」
「そうよ」
「やっぱりそうよね」
「だからね」
その為にというのだ。
「今日のうちにかなりましになったなら」
「いいのね」
「完全に忘れられなくても」
今日中にというのだ。
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