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イベリス
第百二十八話 酒も飲んでその七

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「同じだけね」
「どっちもなのね」
「酷いってね」
 その様にというのだ。
「思っていいかもね、ソ連とか北朝鮮大好きだったし」
「どっちもとんでもないわね」
「皇室がどうとか言うけれど」
 それでもというのだ。
「どっちが酷いか」
「言うまでもないわね」
「でしょ?」
 まさにとだ、咲に言った。
「ソ連ってスターリンよ」
「問題外よね」
 咲もこの独裁者ヒトラーと並び称される彼のことは知っていて頷いた。ホロドロームや大粛清で多くの命を奪ってきたことを。
「スターリンって」
「それで北朝鮮は」
 愛は次はこの国のことを話した。
「もっと酷いでしょ」
「将軍様ね」
「世襲の独裁国家よ」
「それも共産主義の」
「共産主義って世襲否定してるのよ」
 それも極めて強くだ。
「これはそのスターリンですらね」
「しなかったわよね」
「あの国はそれをして」
 共産主義国家と言いながら世襲を実現してだ。
「軍隊と将軍様の贅沢にばかりお金使って」
「国民の人達餓えて」
「そんな風なのに」
「そんな国はいいのね」
「こうした人達って日本の悪口ばかり言うけれど」
 戦前であっても戦後であってもだ。
「自衛隊にもね」
「けれど北朝鮮には言わないのね」
「そうよ、むしろね」
 批判するどころかというのだ。
「大好きでその世襲すらね」
「いいって言うのね」
「日本の皇室なくせ自衛隊なくせって言って」
 それでというのだ。
「将軍様はよくてあそこのあの軍隊もね」
「人民軍よね」
「そうよ、あとね」
 ここでだ、愛はこうも言った。
「咲ちゃんかなり落ち着いてきたわね」
「そうかしら」
「ええ、こうしたお話にも乗るから」
 そうなってきたからだというのだ。
「だからね」
「そうなのね」
「よかったわ」 
 愛は飲みつつ笑顔でこうも言った。
「戻って来て」
「確かに気分的にね」
 咲も否定せずに答えた。
「恰好いい人だったし告白する前だったし」
「失恋しても」
 それでもというのだ。
「ダメージは少なかったのね」
「うちの学校の神戸の本校のお話聞いたらね」
 咲は顔を曇らせて語った。
「酷いしね」
「ああ、あれね」
 愛も知っていて答えた。
「手酷い振られ方してね」
「告白して」
「告白する様にけしかけたお友達二人には掌返しで縁切りされて」
「告白した相手とかその人のお友達に随分言われて」
「周りにもからかわれて」
「そんなことになったら」
 それこそとだ、咲はポテトチップスを齧りつつ言った。
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