第四十七話 慕情その六
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「貴女もそう出来てよかったです、それに」
「それに？」
「貴女を殺さずに済みました」
微笑んでこうも言った。
「そのこともです」
「うん、私もね」
「僕を殺さずに済んでですか」
「よかったわ」
護刃も微笑んで言った。
「そう出来てね」
「お互いにですか」
「??君嫌いじゃないし。それに」
護刃はさらに言った。
「誰でも命を奪うことはね」
「避けたいですね」
「闘ってもね」
それでもというのだ。
「人って生きるだけで命を頂くけれど」
「それは生きているなら」
??はこう返した。
「どんな生きものも」
「そうなるわね」
「考えてみれば。ですが無駄にです」
「命を奪っていいってならないから」
「お互いにですね」
「そうね、じゃあ」
「僕は怪我の治療に専念します」
護刃に答えた。
「そうします」
「そうしてね」
「そして護刃さんも」
「もう闘えないわ」
「そうですね、では」
「征一狼さんのところに行くけれど」
それでもというのだ。
「闘えないわ」
「僕もです、草薙さん後はお願いします」
「えっ！？」
護刃は??の今の言葉に驚いた、それですぐに尋ねた。
「??君今何て」
「何てとは」
「草薙さんって」
「ええ、志勇草薙さんです」
??は何でもないといった声で答えた。
「僕達と同じ地の龍の一人です」
「そんな・・・・・・」
「その人のところに行って」
そしてというのだ。
「戦場を離脱するとです」
「言うの」
「はい、ですが」
??は護刃が急に顔面蒼白になったのを見ていぶかしんで彼女に尋ねた。
「何かありましたか？」
「それは・・・・・・」
「よくわからないですが引き分けということで」
それでというのだった。
「またお会いしましょう」
「え、ええ」
護刃は今はただ??を見送りしかなかった、その彼女を幼犬となった犬鬼が気遣って見上げている。
征一狼と草薙の死闘は続いていた、二人共それぞれ風と気を放って攻撃し合うが。
草薙が両手の付け根を重ね合わせたうえで放った渾身の気が征一狼を撃った、それと同時に征一狼が出した竜巻がだ。
草薙を襲った、二人共それぞれの攻撃をかわせず。
「くっ、これは・・・・・・」
「まずったな」
二人共全身に強いダメージを感じて言った。
「これ以上は無理だ」
「そうですね」
「すぐに撤退してな」
そうしてというのだ。
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