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第四十七話 慕情その三

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「美味しいもの一杯食べたいです」
「僕も一緒に生きていたい人達がいますから」
 征一狼は家族のことを脳裏に浮かべた、離婚届は遊人にどうかと言われてから今まで出さず共に暮らしている。
「ですから」
「そうですね、では」
「生きましょう」
「どうなっても」
「何かあればだ」
 神威は出陣しようとする二人に優しい声で話した。
「俺もいるからな」
「助けに来てくれますか」
「そうさせてもらう」
 実際にというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「安心してくれ」
「神威さんがいてくれるなら」
「安心してくれるか」
「はい、若しもの時はお願いしますね」
「すぐに駆け付ける」
 そうするというのだ。
「嵐もいるしな」
「彼女ですか」
 神威が彼女の名前を出すとだ、丁が反応してきた。
「そうですね」
「ああ、いてくれているな」
「天の龍として」
「!?」 
 ほんの少しそれこそ大海の中の水一滴位の違いだった、だからそこにいる他の誰も気付かなかった。
 だが神威は気付いてだ、丁に言った。
「何かあるのか」
「いえ、何も」
「・・・・・・気のせいか」
 気付いた神威はそれはそうだと思った。
「俺の」
「はい、そうですね」
「そうだな、何か姫様に違和感を感じたが」
「感じましたか?」
「いえ」
 征一狼も護刃もどうかという顔だった。
「特に」
「そうですね」
「なら気のせいだな、だが嵐がいるからな」 
 神威はまた彼女のことを話した。
「いざという時は二人いる」
「それで、ですね」
「助けてくれますね」
「嵐は今は空汰の傍にいるがな」
 負傷している彼に付き添ってというのだ。
「そうしているが」
「お二人が一緒ですと」
 護刃は微笑んで話した。
「本当に安心出来ます」
「それならな」
「何かあってもと思って戦ってきます」
 こう言ってだった。
 護刃と征一狼は出陣した、そしてだった。
 二人は靖国神社に入るとだ、征一狼が言ってきた。
「僕は奥に入りますが」
「はい、お二人いますね」
 護刃は境内の中にある二つの気配を感じて答えた。
「ここに」
「一人は鳥居の方にいて」
「もうお一人はそちらですね」
「僕は奥の方にいる人に向かいます」
「なら私は鳥居の方に」
「そうお願い出来ますか」
「はい」
 護刃は確かな声で答えた。
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