サクラサク
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いたわね!
「め、珍しいですね。アミー様がグズるなんて」
「そ、そうね。お腹が空いたのかしら? あちらにカフェがあるし、場所をお借りしてオッパイをあげましょう」
ルクレツィアも何となく理由を察してくれた様で、土手を挟んだ運河とは逆側にある店へ移動してくれる。
……だが、
「おやぁ〜? 美人のお母さんは赤ちゃんにオッパイですかぁ? ボクちゃんも欲しいでちゅぅ?」
「ターシィさんだけズルい。ボクちゃんもぉ! ちゅーちゅー?」
花見客の一部だろう……
完全に酔っ払いである事が判る典型的な酔っ払いだ。
頬と鼻の頭が桜色した40代中盤のオッサン。
ターシィと呼ばれた方はオールバックに髭を鼻下に蓄えた素面だったら多分紳士。
もう一人はおでこが他人より後方へ3倍は広い小太り中年。
一秒でも早くこの場から移動したいのに、私達の前に立ち塞がり邪魔をしてくる。
心底イラッとした!
でもここで騒げば奴に気付かれる恐れがある。
「ごめんなさい、娘が泣いているので失礼します」
そう言って酔っ払った大きい赤ちゃんから離れようとしたのだが、
「待ってよぉ〜。そんな事言わないで、あっちで俺等と飲もうよぉ〜」
と腕をつかまれ運河沿いに敷いてあるビニールシートへ連れて行こうとする。
流石に危険を感じたルクレツィアが酔っぱらい二人と私の間に割り込んで隠してあった剣を抜こうとした瞬間……
(デンデン デンデレ デレデンデレ?)
「ちょほいと待ちなはぁ〜!」
あぁ……
奴が来てしまった。
がっくりと項垂れ腕に抱いた愛娘に目をやると、
「キャッキャッキャッ?」
と嬉しそうに奴の弾くギターの音に合わせて手を叩いている。
「一曲、歌わせてもらうぜ!」
あっちで歌え!
そう思ったが口には出さず、なるべく冷静を装ってゆっくりと歌おうとしている人物に向き直る。
そこには……
アルルSIDE END
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