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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第182話:不安の予兆
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を強かと言わずして何と言うのか。

「この、ガキ…………!」
「落ち着け、カリオストロ。小僧、お前の言う通り、私達はサンジェルマンをあの男の手から助けたい。だがお前達に背中を預けられるほど、私達はお人好しでも無いワケダ。分かるか?」
「こっちが油断したところを背中から撃つかも……って言いたい訳でしょ?」
「理解が早くて助かるワケダ。で? お前はそんな私達を信用して共闘できるのか?」

 食堂に緊張した空気が漂う。プレラーティの言う通り、この2人が目的を達成した瞬間颯人達を後ろから刺さないと言う保証はどこにもない。そもそも彼女らと颯人達の間には信頼関係のしの字すらないのだ。そんな中での共闘は、互いに不協和を生み出し足の引っ張りさえ起り得る。それを理解しての提案なのかと問えば、颯人はおどけたような感じで口を開いた。

「やっても良いけど、それやった場合助かったサンジェルマンさんが何を言うかね?」
「チッ……このガキ、ホント可愛くないわね。全部分かってて言ってるでしょ? 大した性格してるわ」

 吐き捨てる様なカリオストロの言葉を、颯人は口笛を吹きながら受け流す。その飄々とした態度に一周回って感心すら覚えた2人は、互いに顔を見合わせると観念したように椅子の背凭れに体重を掛けて大きく息を吐くと枷を嵌められた手を上げた。

「なら、共闘の証としてまずはこの枷を外してほしいワケダ」
「これがあると、あーし達戦えない訳だしね」

 2人の提案にウィズは何を馬鹿なと鼻を鳴らした。大体にして、別にこの2人が居なくたって今後の戦いに支障はない。だからこの提案を飲むつもりは毛頭なかった。今回ばかりは颯人が何と言おうが、ウィズは2人に嵌めた枷と掛けた魔力制御を外すつもりは無い。

 そう思っていたのだが、颯人はここで予想外の行動に出た。ウィズに対して何も言う事無く、2人に嵌められた枷に手を伸ばすと、あろうことかそれをそのまま握り潰す様にして壊したのだ。
 この光景には枷を外された本人達だけでなく、傍から見ていた奏達、そして何よりウィズが黙ってはいなかった。

「なっ!? お、おい颯人ッ!? お前今何をしたッ!?」
「何って? あぁ、これもしかして壊しちゃマズかった? でもウィズは絶対外してくれないだろうし、俺は外し方分かんねえからさ」
「そうではないッ! これはそんな簡単に壊せる代物じゃない筈だぞッ!」
「そうなの? でも、な〜んか行ける気がしてさ」

 実は颯人自身、こんな事が出来ると最初は思っていなかった。枷を外せと言われた時、どうやってウィズを説得しようかとすら考えていたのだ。
 が、徐にその不安は消え気が付けば2人の枷を壊して外していた。そしてそれに関して、彼自身は何の疑問も抱いていない。

 それが信じられなくて
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