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仮面ライダーAP
聖夜編 悪魔の影と騎士の絵本 前編
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に……これは間違いなく、ノバシェードの戦闘員だわ。改造人間の兵士を、一体誰が……!?」
「見ろよ、側頭部に等間隔で並んだ3箇所の刺し傷がある。まるで真横から、三叉の槍(トライデント)でブッ刺されたような傷跡だ」

 死体に遺されていた「外傷」は、頭部にある3箇所の刺し傷のみ。それ以外には傷らしい痕跡はなく、着衣の乱れもほとんど見られない。つまりこの構成員は、衣服が乱れるほど動く暇もなく――まともに戦う暇もなく、何者かに殺されたのだ。

「……改造人間の戦闘員を、抵抗する機会も与えずに一瞬で刺殺……か。当たり前だが、只者の仕業じゃねぇ。並の腕力と武器じゃあ、改造人間の頭部をブチ抜くなんて不可能だからな」
「使い手の技量、膂力……それに武器。どれを取っても、『仮面ライダー』に匹敵し得るものであることは間違いなさそうね。しかも現場の足跡を見るに……『実行者』は女性型の外骨格を使っていたようだわ」

 兵器としては「失敗作」であるとはいえ、人間を遥かに超えていることには違いない、ノバシェードの改造人間。その身体を持つ構成員が、為す術もなく一撃で即死させられている。
 それが意味するものを察していたビリーとヘレンは、互いに顔を見合わせ、眉を寄せていた。雪の凹みから足跡の特徴を看破していたヘレンは、透き通るような碧眼を鋭く細めている。

「……使われたのは三叉の槍。女性型の外骨格らしき足跡……。やはり、ケージとオルバスの装備ではないわね。それに、彼らからの報告にもこの件は含まれていなかった」
「あぁ、それにあの2人はそろそろニューヨークを出た頃だが……コイツは死後1時間も経ってない。まず彼らの仕業じゃあないな」
「じゃあ、まさか本当に……あなたの言っていた『仮面ライダー』が……!?」

 ケージでもオルバスでもないのなら、「可能性」は大きく絞られる。ネット上でも話題になっていた、新世代ライダーとは異なる謎の「仮面ライダー」。それが単なる都市伝説の類ではなかったのだという事実に、ヘレンはついに辿り着こうとしていた。

「……!?」

 だが、その時。ヘレンとビリーの背後から――凍て付くような「風」が吹き抜ける。その寒気が季節のせいではないことを、2人は捜査官としての直感で悟っていた。これは絶大な力を持った存在が放つ、「殺気」の風なのだと。

 さらに。

 ――止めた方が良いですよ。これ以上、悪魔(わたし)達の世界に「深入り」するのは。

 そんな得体の知れない女性の声が、2人の耳元で囁かれた――ような気がした。聴覚を通り越して、魂に直接語り掛けて来るような声だ。その声の「近さ」は到底、幻聴の類と言えるようなものではない。
 鈴を転がすような澄んだ声は、確かに2人の耳に残っている。優雅さと冷たさを兼ね備えた、悪魔の声
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