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仮面ライダーAP
聖夜編 悪魔の影と騎士の絵本 前編
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凛だって……絶対、帰って来るさ」

 幼いなりにも、ヘレンと真凛の事情を気遣っているのだろう。モリーは涙を堪えるように唇をきゅっと結び、来年のクリスマスに想いを馳せていた。そんな愛娘の姿に胸を打たれたビリーは、口髭を擦り付けるようにモリーに頬擦りしている。

(……真凛。例え離れ離れになっても……俺達は仲間だ。そうだよな……?)

 対策室の一員として、共に幾つもの死線を潜り抜けて来た、かつての同期。そんな真凛の行方に思いを馳せるビリーは、愛娘を抱き締めながら遠い眼差しで窓の向こうを見つめていた。
 脳裏に過ぎるのは、屈託なく戦友達と笑い合っていられた日々。人ならざる怪物達(ノバシェード)との戦いの中だからこそ輝く、仲間達との思い出。それが少しずつ「遠い過去」になって行く感覚に、ビリーは寂寥感を覚えていた。

「……ん?」

 するとその時、ビリーのスマホから着信音が鳴り始めた。画面に表示されたのは――ニューヨーク市警に居る飲み仲間の名前だ。今はそれどころではないのに、とため息を吐きながら、ビリーはその通話に出る。

「なんだお前か、一体どうし……なにッ!?」

 そして――思いもよらぬ「殺人事件」の発生に、驚愕の声を上げるのだった。

 ◆

 対策室の本部がある高層オフィスビル。そのすぐ近くにある路傍のゴミ捨て場に、ノバシェード構成員の死体が遺棄されているというのだ。

「これは……」

 パトカーのサイレン音が辺りに響き渡る中、通報を聞き付けた警察官達がゴミ捨て場に集まっている。市警時代の仲間達と共にその現場に急行していたビリーは、死体に残されていた凄惨な傷跡に眉を顰めていた。特務捜査官としての「勘」が、警鐘を鳴らしているのだ。これは只者の仕業ではない、と。

「ビリー! モリーのことは大丈夫!?」
「あぁ心配要らない、ウチのカミさんが付いててくれてる!」

 そこに、ビリーが着ているものと同じトレンチコートを羽織ったヘレンが、ブロンドのショートヘアを靡かせて駆け付けて来る。あまりの「豊満さ」故にコートの前を閉められなかったのか、100cmを超える釣鐘型の豊満な爆乳は、ばるんばるんと上下に揺れ動いている。

「悪かったな、ヘレン。せっかく家族の時間を作ってくれてたってのによ」
「いいえ、気にしないで。それより状況は……?」
「……見ての通りだ、酷いもんだぜ」

 周囲を警戒していた現場の男性警察官達が、ヘレンの美貌とスタイルに思わず目を奪われる中。屈託ない様子で「戦友」と合流したビリーは、彼女と共に現場を確認し始めていた。
 改めて死体を目の当たりにしたヘレンも、死体の様子に思わず顔を顰めている。片膝を着いて死体の状況を確認する2人の捜査官は、共に鋭く目を細めていた。

「確か
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