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星河の覇皇
第八十五部第三章 北京星系を見てその五十二

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「非常にな」
「左様ですね」
「それは変わりませんね」
「今も」
「そのことはいいことですね」
「ロシアの最大の財産は何か」
 グリーニスキーは言った。
「それは広大な田畑や果樹園から採れる農作物でも無限とも言える様々な資源ではない」
「多くの工場から生み出されれるものでもない」
「それは市民ですね」
「ロシアの」
「その国民性ですね」
 連合では市民性とも言う。
「その素朴で無欲で親切で」
「我慢強く他人を思いやれる」
「その温かい国民性がですね」
「ロシア最大の財産ですね」
「ロシア人は家と仕事とパンとウォッカがあれば我慢出来る」
 グリーニスキーは言った、既に全員サウナに戻っている。水風呂で冷えた身体が急激に熱されていっている。
「勿論政府としては最大限のものをだ」
「提供しなくてはならないですね」
「さもなければ政府でなく」
「支持も落ちます」
「支持が起きてもロシア人は我慢出来る」
 最大限の利益がもたらされなくてもというのだ。
「その四つがあればな」
「家と仕事」
「それにパンとウォッカ」
「その四つがあればですね」
「ロシア人は我慢出来ますね」
「連合は資本主義で消費社会だ」
 そうした国家だからだというのだ。
「その為だ」
「はい、欲についてはです」
「非常に忠実であり」
「求めるものも量も大きいです」
「全体的に見て」
「だがだ」
 それでもというのだ。
「ロシア人は無欲だ」
「確かに欲しいですが」
「それでも我慢出来る」
「そして非常に親切で温かい」
「そうした国民性ですね」
「その国民性こそがだ」
 まさにというのだ。
「ロシア最大の財産でな」
「最も有り難いものですね」
「農作物や資源や工業製品よりも」
「何よりもですね」
「それが有り難く素晴らしい、その国民性を持つ市民の為に」
 是非にというのだ。
「我々はな」
「国益を手に入れねばなりませんね」
「絶対に」
「その国民性に報いる為に」
「絶対に」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「我々はな」
「これよりですね」
「宣言に参加し」
「そしてですね」
「他の国の政府と共に向かいますね」
「そうする、中央政府にな」
 こう言ってだ、グリーニスキーはまた汗が出て来た己の身体を見た。そうして今度はこんなことを言った。
「それとだが」
「それと?」
「それとといいますと」
「こうして裸で共にいて話す」
 サウナの中でというのだ。
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