第四十六話 結想その十六
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「だからじゃ」
「この世界を壊し滅ぼす」
「そうする、その全てをなくし」
そうしてというのだ。
「笑ってやる」
「怨みを晴らし」
「そうじゃ、後にわらわ一人になろうとも」
それでもというのだ。
「構わぬ」
「そのまま朽ち果てても」
「わらわ達をこの身体で生まれさせ使っておる世界をじゃ」
まさにそれをというのだ。
「滅ぼせるならな」
「いいのですか」
「そうじゃ、天の龍地の龍とあるが」
「その実は」
「そなたとわらわではないか」
丁に邪な笑みを浮かべて告げた。
「違うか」
「地の龍は実は誰も人間を愛しています」
「そうであるな」
「そして愛しているものを滅ぼせる地の龍はです」
「おわぬな」
「そうです」
まさにというのだ。
「彼等は」
「あの者達は覚悟を決めておるつもりじゃ」
地の龍の彼等はというのだ。
「しかしな」
「あくまでつもりであり」
「誰も。わらわ達の妹ですらじゃ」
庚もというのだ。
「それは望んでおらぬ」
「むしろわらわを救いたい」
「わらわをどうかしてな、しかしじゃ」
「そうはさせないのですね」
「何もかも壊し滅ぼしてじゃ」
そしてというのだ。
「最後までそなたと共にいる」
「わらわと」
「わらわが愛するのはそなただけじゃ」
丁にこうも告げた。
「だからな」
「それでなのですか」
「そなたと共にいる」
「何もかもが滅び壊れても」
「この世の全てがなくなろうともわらわ達はな」
「地球から力を得て生きられます」
「ならば最後までともにいようぞ」
この世界の全てを壊し滅ぼそうともというのだ。
「わらわはそなただけが愛おしい」
「自分自身のみが」
「他は何も。誰もいらぬ」
そうだというのだ。
「決してな」
「だからこそ」
「この世界を滅ぼしても構わぬ」
「人も他の生きものも」
「文明も自然もな」
まさに全てをというのだ。
「むしろじゃ」
「そうしますか」
「だからじゃ」
それでというのだ。
「天の龍も地の龍もいなくなり」
「人間も地球も護る力がなくなれば」
「わらわは動く」
これまで以上に邪気に満ちた笑顔で言った。
「いよいよな」
「そうはさせません」
静かだが確かな声でだ、丁はもう一人の自分に告げた。
「わらわは」
「あくまでか」
「貴女がわらわであるなら」
それならというのだ。
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