第十六章
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「貴方達にはそうですよ。それでスマートブレイン社は今は人が経営しています」
「オルフェノクの因果が消え去ったからか」
名護がそう述べた。
「そうです。とはいってもまだ乾君達は戦い続けていますけれど」
「オルフェノクじゃなくなったのにファイズとかのベルト使えるんだ」
「その辺りは私達が協力させてもらいました。人間でも然るべき力があればスマートブレインのベルトもちゃんと使えるんですよ」
そういうことなのであった。正夫に対して答えていた。
「けれど貴方達は多分使えないの」
言いながら泣く仕草をしてみせる。
「御免なさいね、それは」
「それは別にいいですけれど」
紅はそれはいいとした。どのみち彼等にとってはどうでもいいことだった。
「それよりスマートブレイン社の中に敵がいるんですか?」
「いいえ、ここにはいません」
また明るく笑って紅に答えてきた。
「安心して下さいね、それは」
「そうですか。それじゃあ何処に」
「このまま先に進んで」
彼等は歩きながら向かっていた。やがて緑の公園に出て来た。
「ここです。ここに来ると感じちゃいますよね」
「ええ」
公園に入るとすぐに紅の表情が変わった。彼の側にキバット三世とタツロットがすぐに飛び寄ってきた。そうしてこう囁くのだった。
「渡、随分いるぜ」
「やばい雰囲気ですよ」
「そうだね。もうかなりね」
紅もその顔を警戒させたものにさせていた。
「感じるよ。それじゃあ」
「来たか」
登が正面を見て言った。
「やはりあいつがか」
「キングか」
出て来たのはビショップだった。人間の時のあの黒い服で眼鏡の奥に憎悪に満ちた光をたたえながらゆっくりと紅達の前に姿を現わしたのだった。
「それにファンガイアの出来損ないにイクサを操る人間。二十二年後のこの世界にも来たのか」
「蘇らせられたな」
登がそのビショップに対して問うた。
「御前も、スサノオに」
「その通りだ」
ビショップは憎しみに満ちたその目で登に対して言ってきた。
「そしてそれは私だけではない」
「死んだファンガイア達もだな」
「スサノオに従おうとしないファンガイア達は別だが」
「ははははは、その通り!」
また一人出て来た。それは。
「まさか。貴様は」
「そうさ。俺も蘇ってきたんだよ!」
糸矢であった。二十二年前と同じく狂気を感じさせる声と仕草だった。名護に対して言葉を返したのだった。
「この通り。やっぱり生きてるってのは楽しいなあ〜〜〜〜〜!」
「くっ、地獄から這い上がってきたか」
「名護さん、あの二人だけじゃないですよ」
紅は顔を強張らせながら名護に告げてきた。
「前からも。横からも」
次々とファンガイア達が姿を現わしてきたのだった。かなりの数だった。
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