第三部 1979年
曙計画の結末
部隊配属 その3
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ラエル、帝政イランに期する方針を取った。
具体的に彼は1976年3月、ソ埃友好協力条約を破棄した。
そればかりか彼は、親米・反ソをさらに推し進め、イスラエルと平和条約締結の合意に調印した。
そして、平和条約への道筋を進むこととなる。
これに関しては、別な機会を設けて話をしたい。
さて、話を東独に戻そう。
議長は、ふいに頭を下げて、今回の話を詳しく説いた。
「そうすれば、サンダーボルトは輸入したエジプトの物。
だから、どう使おうとアメリカは関知しない」
「なるほど、アメリカは建前を作ってやったって事だな」
「ああ」
アーベルの眼は、茫然と、そういう議長の姿を、見ているばかりだった。
「アーベル!お前は俺の歳を知っているか」
「60歳だったな……」
「そうだ。急がねばならぬ
もはや、俺に残された時間はわずかだ」
アーベルは、男が今この国に何を求めていることを知った。
そして今までに覚えたことのない不安と焦燥感から、ぎゅっと身を固めるように腕を組む。
「ブラッセルへの道は遠い」
男の最終方針は、ソ連からの完全独立であった。
では、どうやれば、このソ連による東欧支配構造を反転的に転覆できるか。
方法は現状で言えば唯一つ。
東ドイツがEUに加盟し、親西欧の体制にいったん戻すこと。
つまり、東ドイツを反ソ国家にするための特効薬たるNATO加盟が、唯一の第一歩となる。
ベルギーの首都、ブラッセルには、EUとNATO本部がある場所である。
こう考えた末の、ブラッセルへの道だった。
「しかし、まず一歩を踏み出さねばならない。
その為には、党を、社会主義を捨てねばならない」
そして、この男の告白こそが、新しい東ドイツの外交方針の基軸であった。
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