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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
 【第4節】同81年の10月以降の出来事。(後編)
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 さて、新暦81年の「エクリプス事件」は〈次元世界〉のさまざまな方面に(ひろ)く暗い影を落としましたが、十代の少年少女らによる公式魔法戦競技インターミドル・チャンピオンシップもまた、その例外ではありませんでした。
 ミッドには直接の大きな被害こそ無かったものの、IMCSの選手たちは、みな『自分たちが、今こうして魔法戦競技などに貴重な青春を費やしていられるのも、世界が平和だからこそなのだ』という事実を改めて痛感してしまったのです。
 その結果、『自分もいずれは管理局員に』と考えていた選手たちの多くが、その予定を前倒しにしました。
 10月の中旬に都市本戦が終了すると、すでに19歳となっていたヴィクトーリアやザミュレイや、最初からその予定だったシャンテ(16歳)ばかりではなく、クヴァルゼ(14歳)を始めとする何人かの有力選手たちもまた、今年を最後にIMCSから引退することを表明します。


 また、なのはとフェイト(ヴィヴィオの両親)が入院したことで、アインハルトとミウラも少なからず動揺し、一度は『自分たちも中卒で早く局員に』などと考えたりもしたのですが、引っ越したばかりの新居で相談を受けた八神司令(謹慎中)からは次のように(さと)されました。

(はや)る気持ちも解らんではないが、今やっとるコトを中途半端で放り出すというのも、どうなんやろうな? 気持ちは嬉しいけど、あと2年だけ「普通の生活を送りながら、地力(ぢりき)を蓄える」というのも、将来的に悪くは無いんと(ちゃ)うか? 人生、「急げば()え結果が得られる」とは限らんのやで』

 そこで、二人は考えを改め、やはり、予定どおりに高等科に進学して、IMCSもあと2年だけは続けることにしたのでした。
 しかし、ミウラは「肉体上の重大な変化」のため、年内には、八神家に引き取られることになりました。
 何と、彼女は「グラックハウト症候群」にかかっていたのです。


 新暦81年の10月下旬。
 はやては新居(古びた洋館)で、シャマルからの報告を聞いていました。彼女は先程、ミウラと一緒に〈本局〉から戻って来たばかりです。
(なお、ミウラは一旦、実家に戻っていました。)

「まず、アギトちゃんの話ですが……マリエル技官が言うには、『今のところ、命に別状は無いが、まだ当分は目覚めさせることができない』とのことです」
「……できない理由は、何なんや?」
「実は……部分的にですが、『基礎プログラム』にまで損傷があるので、現状のまま急いで目覚めさせると、十中八九、『旧来の人格』が維持できません」
「つまり、今、下手に目覚めさせると、別人になってしまうということか?」
 シャマルは悲しげに、ゆっくりとうなずきました。
「おそらくは記憶も失われ、当然に性格も多少は
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