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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
 【第4節】同81年の10月以降の出来事。(後編)
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した。新暦75年の〈ゆりかご事件〉も、ミッドチルダ以外の世界ではあまり話題になりませんでしたが、今回はちょうど「それとは逆」の状況だったのです。)
 そういう訳で、当然ながら、トーマも「あの事件の当事者」として周囲に名前を知られたりすることも無く、退院後は(彼自身の内面は別にして、社会的には)ごく平穏な生活を送ることができたのでした。


 そして、新暦81年の末、〈本局〉のマリエル技官は「秘密裡に」謹慎中のはやての自宅(古びた洋館)を訪れ、はやてに「アギトの状況」と「ハーディスの真意」について一連の説明をしました。

「ご報告が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。……まず、アギトさんについてですが、10月にもシャマルさんにお伝えしたとおり、もし急ぐ必要が無いのであれば、どこかに『純正古代ベルカ製』のユニゾンデバイスがもう一体、残っていないかどうか、時間の許す限り、調べた方が得策かと思います。タイムリミットまでは、最低でもまだ四年や五年はあるはずですから」

 次は、『押収された「ハーディスの融合機」のAIから、彼の「EC計画」に関して、かなり詳細な情報が得られた』という話です。

「詰まるところ、ハーディスが造ろうとしていたのは、ある種の魔力駆動炉でした。彼自身の研究によれば、エクリプスウイルスを弱毒化し、感染者をすぐには死なせないようにした『変異株』を使って『弱感染』とでも呼ぶべき状況を意図的に造り出すと、その弱感染者の生命エネルギーを、その特殊な駆動炉で魔力に『直接に』変換することで、莫大なエネルギーが得られるようになるのです。
 そうした弱感染者は、その駆動炉の中に入ると、ほんの24時間たらずでミイラのように()からびて死んでしまうのですが、もしもそうした駆動炉が本当に完成すれば、理論上は年間『わずか』400名ほどの犠牲で『ひとつの世界』全体のエネルギーを余裕で(まかな)うことができるようになります」

 マリエル技官は、続けて『通常の核融合発電では、どうしても排熱の問題が発生してしまうが、この駆動炉ならば、それすらも無い』という話をしました。

「それから、ハーディスは『原初の種』から直接に、そうした『変異株』を取り出すことができたようです。……少なくとも、できるはずだと考えていたようです。
 その『変異株』も『原初の種』も、今はもう残されていませんから、本当のところ、彼の理論がどこまで正しいのか、具体的な検証をすることはもう誰にもできませんが、可能性としては充分に理解できます。
 と言うのも……私たちは普段、リンカーコアや魔力駆動炉で、大気中の魔力素を結合させて魔力に変えている訳ですが、その魔力素とは本来、陸上の多細胞生物から()れ出した『余剰生命力』が大気中で自然に姿を変えた存在(もの)です。

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