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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
 【第4節】同81年の10月以降の出来事。(後編)
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ました。リナルディ家で魔力を持っているのは、本当にミウラただ一人なのです。
 魔力の話になると、父親はようやく素直な言葉を述べました。
「率直に言って……私たちは、あの子が(こわ)いのです」
 これは、要するに「魔力を持つ者と持たざる者との差」であり、古代ベルカで言えば、そのまま「貴族と平民の差」でした。
 そして、魔力の無い普通の人間たちにとって、これは、実にしばしば「越えられない壁」だったのです。

 はやては、わざと音を立てて、テーブルの上に両手をバンと置きました。
「解りました。……彼女も、思春期の多感な少女ですから、私としても『彼女が心穏やかに暮らしていける環境を、御実家の方で整えていただけるのであれば、それに越したことは無い』と思っておりましたが……どうやら、それも難しいようですね。
 どうでしょうか? 実のところ、私たちは彼女の将来をとても有望視しております。この際ですから、彼女を私たちの家に預けてみる気はありませんか?」
「それは……養子に取る、というお話でしょうか?」
「実際に、彼女の生活環境を整えてあげることさえできれば、少なくとも私たちの方は、戸籍にはこだわりません。彼女自身が成人した時、自分でどう考えるのかは、また別の話になりますが」
 リナルディ夫妻は互いに()(くば)せを()わし、小さくうなずき合うと、ぴったりと声を合わせて、はやてとシャマルに向かって頭を下げました。
「「解りました。よろしくお願いします」」
 この二人も、決してミウラを憎んでいる訳ではないのでしょう。ただ単に『上手(じょうず)に愛することができない』というだけのことなのです。

 こうして話がまとまると、はやてとシャマルは、すぐにリナルディ家を()し、八神家に待機させていたミウラの許に吉報(?)を届けました。
 なお、夫妻から聞いた限りでは、彼等自身の父母も祖父母も、みな魔力など持ってはいませんでした。
 つまり、ミウラの魔力は隔世遺伝ではなく、純粋な突然変異で、これは「魔力の無い一族の許に生まれた新生児」の中では6万人に一人ぐらいです。さらに、ブレイカー資質もまた「強い魔力を持つ者たちの中で」やや多めに見積もっても、せいぜい千人に一人ぐらいでした。
 そこまでならば、まだ「なのは」という前例もあるのですが、その上さらに「巨女病」とは、ミウラは一体なんという数奇な運命の下に生まれたのでしょうか。
 はやては思わず、『何とかしてミウラにも「普通に」幸福で充実した人生を送らせてあげたい』と考えたのでした。

【なお、ミッドの総人口は今や10億人に達しており、新生児も毎年1000万人以上は生まれています。つまり、「ミッド全体で」ならば、『突然変異による魔力の持ち主は、毎年160人あまりも生まれている』という計算
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