【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
【第4節】同81年の10月以降の出来事。(後編)
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。今のは、憶えていただかなくても結構です。この正式名称があまりにも長すぎたので、今では『巨女病』は一般に、その機構を解明した医師の苗字を取って、『グラックハウト症候群』と呼ばれています」
シャマルは、さらに説明を続けました。
「近いうちに、ミウラちゃん本人に対しても詳しい説明が必要でしょう。家族の理解が得られるとは限らないので、場合によっては、彼女は、もうウチで面倒を見た方が良いかも知れません。
『強くなった分だけ寿命が少し縮む』という説もありますが、それはただ単に『自分の体が別人のようになってしまったこと』や、『対人関係の変化によるストレス』で寿命が縮んでいるだけかも知れず。詳しいことは、まだよく解っていません。
また、脳髄そのものの機能も多少は増強されるので、結果として、記憶力や思考力が多少は増大する場合もあるそうです。一般に脳震盪を繰り返すと、脳の認知機能が低下する場合があるので、おそらくは、脳自身がそれを回避するために、そのようにしているのでしょう」
「しかし……脳への衝撃で繰り返し意識が飛ぶ、というのは、具体的にはどういう状況なんや?」
「現代ミッドでは、主にIMCSなどの競技会によるものですが、古代ベルカでは、主に父親からの虐待によるものでした。古代ベルカでは、発症後に『父親殺し』もよくあることだったそうです」
「それは、また……嫌な話やなあ……」
「ちなみに、私たちがミウラちゃんと最初に出会った頃の話ですが、彼女の『自己評価』があまりにも低すぎたので、実を言うと、私は当時、彼女が家庭内で親から『言葉による虐待』を受けているのではないかと疑っていました」
【当初、ミウラは自分のことを、『ボクは本当に不器用で 人見知りで口べたでドジでおっちょこちょいで なにをやってもダメな子だった』と評していました。
(この件に関しては、Vividのコミックス第5巻を御参照ください。)】
「しかし、数億人に一人ということは……同じ症状の人が、ミッドにもう一人ぐらい、上の世代におるんと違うんか?」
「ミッドで直近の発症例は、三十年あまり前のことになります」
「ということは、その人、まだ四十代なんか? 話とか、訊けんのかな?」
「残念ながら、その女性は、十代のうちに……その……」
「ええよ。続けてや」
「人生に絶望して、親兄弟を全員『素手で』皆殺しにしてから、自分も自殺したのだそうです」
(なんで、そうなるんや……。)
はやては、思わず頭を抱え込みました。
「ただ、それは新暦51年のことで、直後に、一連のテロ事件や経済恐慌があり、その陰惨な事件のことは、社会的には速やかに忘れ去られたそうです。それから……これは本当に『俗説』でしかないのです
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