【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
【第4節】同81年の10月以降の出来事。(後編)
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変わってしまうことでしょうね」
「一体どうすれば、元のとおりになるんや?」
「理想的には、どこかでもう一体、アギトちゃんと同じ『純正古代ベルカ製』のユニゾンデバイスを見つけて、そこからコピーを取るのが良いんですが……」
「それは……ちょぉ難しそうやなあ」
ちなみに、同じユニゾンデバイスでも、リインは「古代ベルカ製」ではないので、内部の構造もだいぶ違っており、リインからコピーを取っても、アギトの「基礎プログラム」を修復することはできないのだそうです。
シャマルは続けて、「グラックハウト症候群」の説明に移りました。そもそも、ミウラを今日、本局へ連れて行ったのも、医療部でそれを確認してもらうためだったのです。
「この病気は、古代ベルカでは、ただ単に『巨女病』と呼ばれていました。生まれつき魔力の強い女子が、思春期以前から、脳に繰り返し『意識が飛ぶほどの強い衝撃』を受け続けていると、十三歳か十四歳ぐらいで『極めて稀に』発症する病気です。
ただし、病気とは言っても、実際には『四〜五年かけて、体格と体力が飛躍的に増大してしまうこと』以外には、何も不都合がありません。審美的・対人的にはともかくとして、医学的・健康的には何ひとつ問題が無く、また、感染も遺伝も全くしないので、古代ベルカでは基本的に放置されていました」
「やっぱり……その変化は、もう止められんのか?」
「下手な止め方をすれば、それこそ命に関わります。それに、発症例が少なすぎて、臨床試験を行なえるほどの数の患者も集まりません」
「そもそも、私は今回、病名それ自体を生まれて初めて聞いたんやけど……そんなに珍しい病気なんか?」
「はい。医療の世界では『数億人に一人』とか、『同じ世界の同じ世代に、二人の患者はいない』とまで言われています」
(ええ……。そんなに……。)
「そのため、発症の機構もなかなか解明されなかったのですが、新暦の時代になってから、巨女病の正体が、『脳髄それ自体が「独自の」自己防衛本能に基づいて特殊な内分泌質を分泌し、ある種の魔力資質との相乗効果によって全身を物理的に強化・改変する』という現象であることが、ようやく判明しました。
全身の骨格と筋肉の中でも、特に頭蓋骨や首回りの筋肉などが強化されやすい傾向にあるのは、そのためであり、また、症例が極めて少ないのも、極めて特殊な魔力資質が要求されるからだったのです。
そうした医学的な機構が解明された後には、これは、『病気』と言うよりも、単に『症状』であるものと考えられるようになり、医学的にも、正式に『若年性脳衝撃誘導型特殊内分泌質過剰分泌性魔力資質相乗式身体強化症候群』と命名されました」
「……何やて?」
「すみません
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