【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
【第2節】エクリプス事件の決着。
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
わゆる「原初の種」(エクリプスウイルスを生み出す種母体)を直接に攻撃し、それを消滅させると、それでハーディスの能力もがくりと半減し、形勢は一気に傾いたのです。
なお、最終的に、融合機を失って「虫の息」となったハーディスに止めを刺したのは、シグナムでした。
場所は、巨大な「人工島」の外縁部、誰も見ていない波打ち際です。
ハーディスの融合機のAIは、人格構成回路や演算処理回路こそ大破していたものの、一見してメモリー部分は完全に無傷で、そこから幾らでもデータが取れるような状態でした。そこで、シグナムは『必ずしも、ハーディス自身から供述を取る必要は無い』と判断したのです。
「……20年の歳月をかけた私の計画が、たかがお前たちごときに、わずか2か月で潰されることになろうとは……。あの真竜と竜騎士さえいなければ、フォルスで方が付いていたものを……」
「泣き言を言う暇があったら、辞世の句でも詠んだらどうだ?」
シグナムは、静かな殺意とともに、そう吐き捨てました。その殺意に当てられて、ハーディスの表情は、見る見る恐怖に歪んで行きます。
(一度は再生されたはずの右腕も、またいつの間にか、失われていました。)
「待て! 管理世界の法では、死刑は禁止のはずだろう?(息も絶え絶えに懇願)」
「それはあくまでも、法廷で死刑を宣告されることは無い、というだけの話だ。お前には、法廷に立つ資格すら無い。……この卑怯者め。アギトの苦しみの半分でも良い。お前はきちんと苦しんでから、死んで行け」
シグナムの手を離れたレヴァンティンは「シュランゲフォルム」になって、まるで生きた蛇のように、ハーディスの全身に絡みついていきました。
「待てえ! 待ってくれえええ!(恥も外聞も無く泣きわめく)」
「(完全に無感情な口調で)レヴァンティン、すりおろせ。骨ひとつ残すな」
レヴァンティンは、ハーディスの全身にギチギチに巻き付いた状態のまま高速回転を始めます。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!(絶叫)」
こうして、ハーディス・ヴァンデインは、プライドの欠片も無く、見るも無様に、見苦しく死んでいきました。その血飛沫はみな、波に洗われ、その遺体は一片も残りません。
良くも悪しくも、後世の歴史家が彼の名を口にすることは決して無いでしょう。
一方、巨大な人工島から海上に大きく突き出した「桟橋」に引っかかって沈没も寸前という状態の〈フッケバイン〉の艦内では、最後に生き残った女が、ヴィータに向かって呪いの言葉を吐き散らかしていました。
女は見るからに重傷で、明らかにもう助からない状態ですが、一方、ヴィータは気を失ったアイシスを軽々と肩に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ