【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
【第1節】新暦81年、7月までの出来事。
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が、専門家は治療法も知っていなければならないのです。
医者は、みずからは病気にかかることなく、病気の専門家にならなければいけません。そして、それと全く同じように、聖職者もみずからは悪に染まることなく、「悪の専門家」にならなければいけないのです。
悪に堕ちたくて悪に堕ちる人はいません。彼等に必要なのは、「単なる正論」のような予防法ではなく、もっと具体的な治療法なのです。
単なる正論では、悪は救えません。そもそも、「正論では、もうどうすることもできなくなってしまった人たち」が、悪に堕ちるのですから。我々は決して「今、熱を出して苦しんでいる人たち」に乾布摩擦を強要するような愚を犯してはならないのです。
そういうつもりで、皆さんは、ネイザルでは悪に染まらないように注意しながら、その治療法を考えるための材料として、さまざまな悪について学んで来てください』
その言葉は、確かに「単なる理想論」だったかも知れませんが、それでも、多感な14歳の少年少女たちにとっては、なかなか「心に響くもの」があったようです。
ユミナもこれに感銘を受け、その感銘はやがて彼女の人生を大きく変えてゆくこととなったのでした。
一方、ミウラの学校では、最初から修学旅行の行先はルーフェンに決まっていました。
春先にそれを聞くと、リオはミウラにこう応えます。
「修学旅行で行くなら、首都ラオキンの方でしょう。クラナガンとは3時間ほどの時差がありますが、あちらはまた、あたしの故郷とはゼンゼン様子が違いますから、楽しんで来て下さい。旧市街の方には、〈号天〉がまだ強国だった頃に建てられた建築物がそのまま残っていたりして、デザイン的にも面白いですよ」
この頃のミウラとリオは、傍から見ていて『君たち、もう結婚したら?』とツッコミを入れたくなるほどの「仲良し」でした。
この頃は、まだ本当に仲良しだったのです。
また、7月になると、地球の高町家では、士郎(53歳)の「退院20周年」が祝われましたが、当然ながら、なのは(25歳)にはそちらに顔を出す余裕もありませんでした。
一方、ミッドでは、7月の下旬に、IMCS第29回大会の地区予選が始まりました。
管理局は、人々の関心を〈エクリプス事件〉から逸らすため、聖王教会の「聖王昇天360周年記念祭」に対する支援と同じように、決して「管理局」の名前は表に出ないように注意しながら、これを支援します。
結果として、今年の第29回大会は、各種メディアで「例年に無いほどの盛り上がり」となったのでした。
なお、ナカジマジムからは、アンナ・ク・ファーリエ(12歳)が初出場しました。「14歳組」のアインハルトとミウラや「12歳組」のヴィヴィオとリオは、もちろんのこと、今回はコロナも再
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ