暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十五話 国防委員長
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り軍としては作戦遂行に難ありと見ていいのかな、二人とも」
シトレ親父は何も言わない。俺に言えってか…。
「そうです。これまでは軍の行動は同盟国内で行われる防衛戦に限られていました。ですから戦争のやり方も単純でよかった。ある意味艦隊司令官の質は問われずに済んだのです。イゼルローン要塞から吐き出される帝国軍を叩く、それだけれでよかった。ですがこれからは違います。当面はアムリッツァ防衛が軍の主な任務ですが、そうではなくなる時がいずれ来るでしょう。艦隊司令官の質が作戦の成否を決める…そういう状況が必ず出てきます。過去のイゼルローン要塞攻略戦をみても…我が軍が攻勢に出た作戦では艦隊司令官の過誤が作戦の足を引っ張っています。という事は極論すれば、我が軍は守るのはそこそこでも攻めるのは下手だ、という事になります…これは変えていかなけければなりません。同盟は帝国と戦争をしているのですから、戦場での勝敗が国内政治と密接に関わってきます。そういう意味でも艦隊司令官は質を求められると思うのです」

 二人とも俺の言葉を黙って聞いていた。成程、バックアップするというのは本当の様だ。でなきゃ黙っちゃいないだろう。
「軍を精強ならしめる事が同盟そのものの方針を決めるという事だな…本部長、どうかな」
「異論はありません」
「しかし艦隊司令官を変えるといっても、配置を離れた後の新たな配置が必要だな。どうかな、少将」
「幕僚会議委員でいいんじゃないですか。ですが幕僚会議は今のところ名誉職に近い。これを軍内部ではなく国防委員長の諮問機関として委員会内に移管したらどうでしょう?国防委員長と直接話が出来るのですから、実を伴った名誉職となります」
「となると同盟軍自体の組織図をいじる必要があるな。大変だぞこれは」
「暇にならなくていいじゃないですか、シトレ国防委員長」
「相変わらず他人事だな君は。こういう事は言い出した本人が責任を持つものだ。優秀な部下がいて暇なのだろう?」
「…言葉のあやというものですよ、さっきのは」
藪蛇だった、くそ…。



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