敢闘編
第七十五話 国防委員長
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ついてはろくに語っていないのだから、評議員や政府閣僚ともなると戦争継続については皆肯定的なのだろう…そうなんだよ、同盟建国の経緯からしてそもそも帝国とは妥協出来ないのだから、余程じゃなければ和平なんて言葉が出る筈はないんだ…。
「では閣下は職責として市民を鼓舞しているのであって、閣下ご自身の主張として戦争を賛美している訳ではない、こう仰るのですね」
「当たり前だろう、戦争など百害あって一利なしだ。軍事力など、戦争がなければ国内保安向けの必要最低限でいいのだ」
ふむ…もう少し聞いてみるか。
「ですが閣下のその真実のお考えを知る者はいません。それに、閣下の近くには戦争を賛美する団体がいませんか?」
「少将…それは憂国騎士団の事かね?あれはピエロだよ。何度か代表に会った事はあるが、狂信的な原理主義者の印象が強いな」
「彼等と何らかの政治的な提携をなさっている、という事はありませんか?」
「ない。前任者や他の国防委員はどうか知らんが、政治的原理主義者と手を組むなど愚の骨頂だよ」
なんだ、まともじゃないか。政治家としての本音と建前…やはり実際に話してみないと真の姿は分からないという事か…。
「今後はお会いになるのは止めた方がいいでしょう。たとえ閣下が彼等をピエロと思っていたとしても、情勢が変われば取り込まれる恐れがあります」
「胆に銘じておこう」
くそ、これじゃ俺がトリューニヒトのブレーンみたいじゃないか。
「閣下がもし最高評議会議長になられたら、どうなさるおつもりなのですか?同盟の方針に関する小官の私案を申し上げるにはそれを確認せねばなりません。あくまで我々は目的を達成する手段に過ぎませんし、閣下のお考えと相容れない場合もありますので」
俺がそう言うと、トリューニヒトは三杯目のコーヒーを注ぎだした……あとは自分でやれという事か…。シトレ親父、自分でやってくれ!
「私個人としては戦争は止めるべきと思っている。最上は帝国に勝つ事だが…そう上手く行くとも限らない。それ以外の選択肢もあると考えている」
……こんなにまともなトリューニヒトを見られるとは思わなかったぜ。原作での姿は支持者に対するポーズという事か。奴の政治的信条なんてほとんどと言っていい程描かれていないからな。ヤンさんとその周囲から見たトリューニヒト像、というイメージで語られる事が多かったし、アイランズとの贈収賄の現場も描かれていた。その上地球教に取り込まれて同盟市民をだました煽動政治家という役柄だからな…。ヤンさんとその周囲やビュコック爺さん、その他の良識派との対比としてああいう人物像になったんだろうけど、実際に近くで見れば本音と建前を使い分ける、酸いも甘いも知った政治家…よくも悪くもリアリストか…。
「意外と言っては何ですが、閣下は常識人なのですね」
「同盟市民を煽動し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ