第七十八話 教会長さんその十
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「だからね」
「それで、ですか」
「あの子もちっちは大事にするわよ」
「そうですか」
「嫌いじゃないと何もしないでしょ」
「私はからかいますが」
「そうなのね」
何故か、です。
先輩はここでくすりと笑われました、そのうえで私に対してこんなことを言われました。
「あらためてわかったわ」
「何がですか?」
「ちっちは彼を誰よりも大切にしないといけないわ」
「何ですか?」
思わず首を傾げさせてしまいました。
「新一君をですよね」
「そうよ」
「お父さんお母さん妹達に信者さん達に」
「その人達と同じだけね」
それだけというのです。
「大切にしてあげてね」
「そうしないと駄目なんですか」
「ちっちはね」
「ううん、どういうことか」
神殿の廊下を歩きながら首を傾げさせました。
「わからないです」
「そのうちわかるわ」
「そうですか」
「あの子が私をどれだけ嫌ってもね」
「私はですか」
「あの子を大切にしてね」
こう言われるのでした。
「いいわね」
「よくわからないですが」
本当にです。
「先輩も詰所の人達も皆言いますし」
「ちっち自身その考えでしょ」
「はい、誰に対しても」
「ちっちらしいわね。それであの子はね」
「特にですね」
「大事にしてあげてね」
教祖殿を前に言われました。
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