第百二十七話 告白その九
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「思わなかったわ」
「奇遇ね、実はお風呂に入ったら」
その後はとだ、愛は今の咲とは対照的に明るく話した。
「咲ちゃんのところにね」
「来るつもりだったの」
「近いしね」
今自分達がいるスーパー銭湯から咲の家までというのだ。
「そのつもりだったの」
「そうだったの」
「けれどね」
咲に微笑んで言った。
「ここで会うとはね」
「思わなかったわね」
「ええ、けれどね」
「けれど?」
「ここで会ったのが縁だし咲ちゃん何かあったわね」
愛は咲の今の顔を見てこうも言った。
「そうよね」
「それは」
「隠さなくていいから。お話はお風呂の中でね」
「お話していいの」
「何でも言って、付き合うわよ」
「それじゃあ」
「後ね」
愛は咲に笑顔でこうも言った。
「咲ちゃんのお家に行くって言ったでしょ」
「そうね」
「だからお家でもね」
咲のというのだ。
「聞くわよ」
「その時飲んでいい?」
咲は愛に前以て断った。
「そうしていい?」
「いいわよ、それじゃあね」
「ええ、それなら」
「今からね」
「お風呂に入って」
「そこで聞かせてね、お話出来ないことならいいけれど」
「お姉ちゃんなら出来るから」
表情は沈んだもののままだった、だがそれでも愛の顔を見て答えた。
「だからね」
「大丈夫ね」
「ええ」
そうだと答えた。
「だから安心して」
「それじゃあね」
「それじゃあ」
「うん、今からね」
「入ろう」
「二人でね」
愛もにこりと笑って応えた、そうしてだった。
二人はスーパー銭湯に入った、そこで券を共に買ってお店の人に渡してバスタオルを受け取ってからだった。
女湯に入り脱衣場で服を脱いでから風呂場に入った、二人で身体を並んで座って洗ってからサウナに入ると。
咲は愛に聞かれてそこで何があったのか話した、話を聞き終えた愛は最後まで聞いてからこんなことを言った。
「誰だってあることよ」
「そう言われたけれど」
「でしょ?マスターさんよね」
「喫茶店のね」
「その人の言う通りよ、じゃあ今日はとことんまで付き合うわ」
「そうしてくれるの」
「お風呂も入って」
一緒にというのだ。
「それでね」
「その後も」
「お酒飲むでしょ」
「うん」
今も隣にいる愛にこくりと頷いて答えた。
「そうするわ」
「だったらね」
「付き合ってくれるの」
「何でも言って、聞くから」
愛は暖かい声で告げた。
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