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イベリス
第百二十七話 告白その八

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「絶対に」
「だったら頼れよ、まあ突っぱねられてもな」
「それでもですか」
「その時はその時だよ」
「その時はですか」
「自分で飲んでな」
「忘れることですか」
「そうだよ、誰か頼れなくても」
 その時はというのだ。
「何とか出来るんだよ」
「失恋は」
「そうさ、あと人の失恋を言う奴はな」
 そうした輩はというと。
「相手にしないことだよ」
「私の失恋も」
「人の失恋を嗤うなんてな」
 そうした行為はというのだ。
「碌でもない奴のやることだよ」
「碌でもないですか」
「痛いだろ、今」
 咲を見て言うのだった。
「辛いだろ」
「かなり」
「心の傷だからな」
 失恋、それはというのだ。
「だからそれを嗤うなんてな」
「いいことじゃないですね」
「だからな」
「そうしたことをする人は」
「相手にしないことさ、言われてもな」 
 それでもというのだ。
「相手にしないことだよ」
「そうですか」
「碌でもない奴の言うことはな」
「最初からですね」
「相手にしないでな」
 それでというのだ。
「失恋よりもっとな」
「忘れることですね」
「言うことは頭に入れることないさ、下らない奴の言うことはな」
 それはというのだ。
「頭に入れないでもっといいことをな」
「頭に入れることですね」
「そうさ」
 まさにというのだ。
「そうしてな」
「それで、ですか」
「前に進むことだよ」
「新しい恋愛に向かうことですね」
「そうだよ、言われてもな」
 そうされてもというのだ。
「気にするな、いいな」
「わかりました、それじゃあ」
「風呂入って来いよ」
「そうしてきます」
 コーヒーを飲んでから答えた、咲は今は泣いていないがそれでもそのコーヒーは不思議と涙の味がする様な気がしてこれが涙の味なのかもと思った。
 マスターにヒヤシンスを売ると家に向かって帰ってだった。
 その途中スーパー銭湯に向かった、だがその入り口で愛に会った。すると愛の方からこう言ってきた。
「随分落ち込んでる?」
「お姉ちゃんどうしてここに」
「いや、大学でこのスーパー銭湯がいいって聞いて」
 愛は咲の問いに微笑んで答えた。
「それでなの」
「ここに来たの」
「そうなの、ただね」
「ただ?」
「ここで咲ちゃんに会うとはね」
「実は私も」
 咲は愛に今は自分に何があったのかを隠して答えた。
「ここに来たくて」
「来たのね」
「そうなの。けれどまさかお姉ちゃんが来るなんて」
 それはというのだ。
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