第四十六話 結想その十二
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「自分がいい奴とはな」
「思わないのね」
「不愛想で攻撃的でな」
そうした性格でというのだ。
「付き合いにくいだろう」
「ううん、東京に戻って来た最初の頃はね」
小鳥は少し考える顔になって答えた。
「そうだったけれど」
「今は違うか」
「本来の神威ちゃんにね」
「戻ったか」
「そうした風だったのも」
戻って来た当初はというのだ。
「私やお兄ちゃんを気遣ってでしょ」
「巻き込みたくなかった」
神威は正直に答えた。
「俺はな」
「だったらね」
「それならか」
「いいと思うわ」
こう言うのだった。
「私はね」
「そうした性格もか」
「うん、意地悪とかじゃないから」
それ故にというのだ。
「それならね」
「いいか」
「そう思うわ」
にこりとして言うのだった。
「私はね」
「そうか」
「それでその神威ちゃんはもうね」
「ないか」
「本来の神威ちゃんを出してくれてるから」
だからだというのだ。
「いいわ」
「そうか」
「ええ、ただ蟹は」
またこちらの話をした。
「実は結構ね」
「喰いにくいな」
「そうよね」
「蟹はな」
神威は少し苦笑いで述べた。
「そのことはな」
「仕方ないよね」
「甲羅があるからな」
だからだというのだ。
「どうしてもな」
「食べにくいわね」
「このことはな」
「仕方ないわね」
「店によっては出してくれるそうだが」
その中身をだ。
「しかしな」
「私達はね」
「それは無理だからな」
「自分で出してね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「食おう」
「そうするしかないし」
「そうしたことも受け入れて」
そうしてというのだ。
「皆でな」
「食べようね」
「甲羅はあってもな」
それでもというのだ。
「美味い」
「そのことは事実だし」
「是非な」
蟹鍋はというのだ。
「皆でな」
「食べようね」
「そうしようね」
二人でこうした話もした、空汰は戦線を離脱することになったがそれでも雰囲気は決して悪くはなかった。
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