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八条学園騒動記
第七百二十七話 象の過去その十二

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「なくなる、それが無理ならな」
「少なくなることをですね」
「望んでいる」
 こう言うのだった。
「やはりな」
「心からですね」
「そうだ、暴力はだ」
「反対ですね」
「どんな国の中でもな」
「人に対しても他の生きものに対してもだ」
「それだけ殴ったり蹴ったりしたいならだ」 
 それならというのだ。
「格闘技をすることだ」
「そこで、ですね」
「殴ったり蹴ったりな」
「そうすればいいですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「調教と言ってもな」
「暴力は振るってはならないですね」
「虐待はな、当時はな」
 生きものに対してのそれはというのだ。
「そうした方法しか知られていなかったが」
「それでもですね」
「今は違う、そうしたことをせずともな」
 虐待をというのだ。
「しっかりとな」
「調教出来ますね」
「見世物に出すことも出来る」
「そうなっていますね」
「即ち虐待の必要はない」
 全くというのだ。
「だからな」
「尚更ですね」
「暴力は駄目だ」
「人以外の生きものに対しても」
「科学的にも暴力を通じての教育は無意味どころか逆効果だとわかっている」
「左様ですね」
「それならな」
「最早ですね」
「暴力を振るうということはだ」
「只の残虐行為ですね」
「連合でも法律に反している」
 犯罪、暴行罪にあたるのだ。
「だからな」
「振るうものではないですね」
「まして教師ならな」
「尚更ですね」
「暴力は感情に基づく非合理的で野蛮な行為だ」
 そう認識出来るというのだ。
「それを平然と行う教師なぞだ」
「失格ですね」
「その時点でな、だから連合のことでもな」 
 暴力教師の問題はというのだ。
「断固反対する」
「この問題の少しでも改善することをですね」
「願っている、また象達もな」
 また目の前の彼等を観て話した。
「その様なことはな」
「あって欲しくないですね」
「心から思う」
 三歳位の象を観ての言葉だ、その子象が丁度かつてサーカスの中の虐待で死んだ象と同じ年齢だったことを思い出しつつだ。大尉は言ったのだった。


象の過去   完


                 2023・8・9
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