第七百二十七話 象の過去その七
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「残念なことにな」
「存在していますね」
「それも現実だ」
「左様ですね」
「しかしだ」
それでもとだ、大尉は話した。
「そうした輩は見付かればな」
「その罪を言われますね」
「連合では動物虐待は重罪でだ」
そうした扱いでというのだ。
「死刑も有り得る」
「この国はそうですね」
「それもだ」
「只の死刑ではなく」
「あの残虐な拷問的処刑でな」
先程話したというのだ。
「惨たらしくな」
「処刑されますね」
「そうなる」
こう言うのだった。
「この国ではな」
「それが連合ですね」
「凶悪犯には微塵も容赦せずな」
そしてというのだ。
「人権なぞだ」
「徹底的に踏み躙られますね」
「むしろ凶悪犯の人権を徹底的に踏み躙るのがな」
「連合ではいいことですね」
「だからそうする、少なくとも象の虐待もな」
「少ないですね」
「それも極めてな」
こう言うのだった。
「そうなったことは事実だ」
「それは何よりですね、そういえば」
ここでだった、大尉は。
象達の中に小さな象を見付けた、その象は見るからに子供で外見も幼い感じだ。澄んだ目で大きな象に寄り添っている。
「子供の象もいますね」
「そうだな」
「あそこに一匹いて」
その子象を観ながら大尉に話した。
「他の場所にもです」
「いるな」
「何匹か」
「それぞれ年齢は違う様だが」
それでもとだ、大尉は話した。
「三歳位の子もいるな」
「三歳といえば」
「そのだ」
まさにというのだ。
「サーカスで虐待されて死んだ」
「その子象の年齢ですね」
「そうだな」
「そう思うと何かです」
「神妙になるな」
「そうですね」
上等兵もそうした顔になって述べた。
「同じ年齢となると」
「連合では生まれ変わりの考えが主流だが」
「それでもですね」
「流石にその象の生まれ変わりとはな」
三歳でサーカス団の中で虐待死した象のというのだ。
「思えないがな」
「象と言っても多いので」
「しかしな」
それでもというのだ。
「やはり思うところは出来るな」
「左様ですね」
「あの子達は虐待されていない」
「大丈夫ですね」
「そんなことはな」
全くというのだ。
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