覆す力
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まるで手品のようにも思えたが違った。私はブレスを交わすことに意識が向きすぎており、あいつの手元を見ていない時間帯があった。
「これがあいつの狙い・・・」
口が塞がれていることで私もシリルも接近戦に持ち込むしかないという先入観、ブレスを放つために魔水晶を手に持ちかえる隙をわざと見せる演技、至近距離のため受けても交わしても自身からは一瞬でも視線が外れるという計算、そしてその隙を見逃さない洞察力。全てが完璧に噛み合っていたことにより、彼は本来圧倒的に実力差のある私を追い詰めた。
「滅竜奥義・水中海嵐舞!!」
そして自らは万全な状態で、最高の魔法で確実に決め切る非情さ。
「見事だ、シリル」
私はそれに回避行動を取らない。無理すれば取れたのかもしれないが、それをしたところで私の負けは覆すことができない。少年の重たい一撃を受け、私の意識はそこで途絶えた。
シリルside
『ムーン選手!!退場カボ!!』
魔水晶を口にしていなかった時間が一定時間を過ぎたためその場から転送されるセレーネさん。俺はそれを見届けてから、彼女が咥えていた魔水晶を回収し、腰元へと付ける。
「あとは誰が残ってるんだ?」
残り時間はわずか。他の参加者がどうなっているのかを把握しようと辺りを見渡すと、すぐに全てを理解することができた。
「あとは俺たち三人だけか」
警戒しながら俺との距離を詰めてくるのはエルザさんとシェリア。最終バトルにふさわしい二人を見て俺は思わず口元を緩ませた。
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