覆す力
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「あなたの弱点はその魔法。だって時を止めている間も、あなたは呼吸をしていないといけないんだから」
「っ・・・」
ディマリアは時の魔法を使うことにより周囲の時間を止めることができる。しかしそれはこの競技に置いては大きな欠陥となっていたのだ。酸素に限りがあるにも関わらず、彼女は魔法を発動する度に自身の酸素だけを消耗する状況になっていたのだから。
「これで・・・終わり!!」
酸素切れにより行動に制限のかかってしまった敵に強烈な一撃を喰らわせるシェリア。それにより気を失ったディマリアはなす統べなく沈んでいく。
『クロノス選手!!意識喪失によりドクターストップ!!失格です!!』
水中ではわずかな判断の遅れで命の危険があるため、運営は競技続行が困難と判断した彼女をすぐさま転送する。待機場所に戻ってきた彼女は気を失ったままではあるが、息はあるようで何かを呟き続けていた。
「また・・・負けた・・・のか・・・」
無意識下のはずなのにそんな言葉が出る彼女にその場にいた二人の男は視線を交わらせ、一人はタメ息をつき、もう一人は衛生兵を呼ぶためにその場を後にした。
セレーネside
声高らかにそんなことを言い出したシリル。それに私は思わず眉を潜めた。
「ずいぶんだな、私に何か弱点でも見つけたか?」
彼にそんなことを思われるようなことをした覚えはないが、こいつは異常なまでにいい目を持っていると聞いている。それにより私が気が付いていない何か欠陥を見破られているのかと思ったが・・・
「へ?」
どうやらそれは思い過ごしだったらしく、彼はキョトンとした顔を覗かせていた。
「しかし・・・」
それならばなぜあんなに自信に満ちた顔でそんなことを宣言できたのか。それが気になって仕方がない。
「いや・・・それが狙いかもな」
こいつは意外と頭もいいと聞く。それは昨日のバトルパートで確認済み。あれだけ計算ずくで動けると考えると、あながちこの考えも間違いではないかもしれない。
「まぁいい、戦ってみればわかること!!」
魔力を考える限り私の方が力があることは間違いない。それにこのゲーム、無駄に思考したところで酸素を消耗するだけ。水中が得意なこともありシリルが消費している酸素の量は私よりも少ないことを考えると、長期戦にするのは愚策。そう考え、すぐさま接近戦へと持ち込む。
「くっ」
元々の速度域で考えればかなり落ちてはいるが、それでも人間と戦うには問題ない速度が出せている。だが、相手は逆に地上と変わらない速度を維持していることから結果的に五分と五分の戦いになっていた。
(ここからどう展開していくべきーーー)
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