覆す力
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一つの戦いに決着が着いた頃、こちらでは予想外の形で二人の戦いが終演を迎えようとしていた。
「「ゴボッ」」
互いに相手の攻撃を受けては流し、繰り出すことを繰り出していたリサーナとユキノ。ただ、両者の力は拮抗していたことにより一進一退のまま膠着状態となっていた。だが、この戦いは普通のバトルではない。それが今回の決着を迎える要因となってしまった。
『リサーナ選手!!ユキノ選手!!カウントに入るカボ!!』
二人の口元にはいまだに魔水晶が咥えられている。にもかかわらずこのマトー君の声に困惑するものもいたが、多くの者たちがすぐに理解した。
「二人の酸素が切れやがったのか」
「この場合はどうなるんだ?」
両者ともに持っていた魔水晶の酸素切れ。バトルでの決着になるとばかり考えていた観客たちも魔導士たちもこれには困惑を隠せない。
『30秒以内に酸素の入った魔水晶に交換できないと失格になるカボ』
今回は双方ともに相手の干渉とは無関係の酸素切れのため、魔水晶の付け替え時間の30秒が適用される。だが・・・
(まずい)
(私たちはまだ・・・)
彼女たちは誰からも魔水晶《ラクリマ》を奪えていない。そのため交換しようにもそれが叶わないのだ。
(ミネルバ様は!?)
(エルザは!?)
二人は仲間の方に視線を向けるがミネルバはすでに退場、リサーナはエルザの姿を捉えてはいたが、その距離の遠さに絶望することしかできない。
「「・・・」」
二人は顔を見合わせるとお互いに肩を竦めてみせた。そして二人はマトー君の方へと手を挙げる。
『リサーナ選手とユキノ選手よりギブアップが入ったカボ!!』
まだタイムリミットまで余裕はあったがここから打開することができないと判断した二人はこうする他になかった。ただ、彼女たちは悔しさよりも楽しさが上回っていたのか、笑いながらその場から転送された。
「・・・」
シェリアの言葉により先程までの言葉が嘘のように静まり返っているクロノス。しばしの沈黙の中、向かい合う二人は酸素切れを起こす前に魔水晶を新たなものへと付け替えていた。
(ああは言ったけど、今の状況は五分五分。いや、あたしの方が分が悪いよね)
彼女は自身が有利になれる点を見つけつつも、それがそこまで大きなメリットでないことはわかっていた。
(さっきのまま攻めてくれてれば・・・)
終わってしまったことを考えてしまう少女。だが、その思考に気がついていないのか、クロノスはなかなか動けずにいる。
((この人・・・もしかしてわかっていない?)
今攻めれ
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