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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第181話:優しい壁
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……誰と組んでも……。でも私は、切ちゃんとでなきゃ……ッ!」
「人との接し方を知らない私は、1人で強くなるしかないんですッ! 1人でッ!」
辛そうに胸の内を明かす調に対し、翼は親近感の様なものを感じずにはいられなかった。自分も一時、似たような状態に陥った事があるからだ。自分にとって親しい人物を、横から出てきた誰かに取られてしまうような……そんな不安を。
「心に壁を持っているのだな、月読は」
「――壁……」
翼が口にした壁と言う言葉。それを聞いて、調は先程1人で境内を散歩していた時遭遇した宮司との会話を思い出していた。
『壁を崩して打ち解けることは大切なことかもしれません』
『ですが壁とは、拒絶の為だけにあるものではない。私はそう思いますよ』
宮司からの言葉を思い出していたからか、壁越しのプレラーティからの攻撃に一瞬反応が遅れそうになる。ギリギリのところで回避し転倒する事を免れた調に、翼が嘗ての自分の経験を語った。
「私もそうだった。奏が誰かに取られるかもと思い、気付かぬ内に壁を作り目を塞ぎそうになった事がある……」
「奏さんと、颯人さんの事……?」
「結局はただのヤキモチに過ぎなかった事だが、それでも颯人さんは笑って許してくれた。私の奏への想いを受け入れてくれた」
それは調にも当てはまる事だった。今調が他の装者達に対して壁を作っているのは、切歌を想うがあまりの嫉妬心の裏返し。自分を守る為でなく、他者を想うが故の壁であった。翼はそれを見事に言い当てた。
「月読の壁も、ただ相手を隔てる壁ではない。相手を想ってこその距離感だ」
「……想ってこその距離感……?」
「それはきっと、月読の優しさなのだろうな」
「優しさ……」
翼からの言葉に、調の表情が徐々に明るくなる。胸に刺さっていた棘が取れた様な爽快感が、それまで下を向いていた彼女に漸く前を向かせたのだ。
2人がそんな会話をしている事等知る由も無いプレラーティは、しつこく追いかけてくる2人に再度錬金術で今度は氷柱を飛ばして攻撃してきた。走りながらの不安定な状態からの攻撃は、狙いも甘く避けるのはそう難しい事では無い。
「優しいのは、私じゃなく、周りの皆です。だからこうして気遣ってくれて……」
そう翼に返す調の顔には、確かな笑顔が浮かんでいた。それは相手を思い遣るが故の誤魔化しの様な笑みではなく、心から相手を想う本当の笑みであった。
「私は、皆の優しさに応えたいッ!」
「ごちゃつくなッ! いい加減付け回すのを止めるワケダァァァァッ!」
希望を見出した調に対し、追い回されているプレラーティは怒りを爆発させるように錬金術の炎を放った。走っている途中に入り込んだトンネル、その天井付近にある排気ガスの
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