暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第181話:優しい壁
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いる。その表情は今までの我儘放題な子供の様なものから一転、他者を追い落とす冷酷な笑みを浮かべていた。

「計画遂行の勘定に入っていたのさッ! 最初からッ! 君の命もッ! サンジェルマンの命もッ!」
「そんなの聞いていないワケダッ! 大体、だとすればあの小僧はどうなるッ! あの小僧の命を狙っていたんじゃないのかッ!」
「保険、という奴だよ。優先すべきは計画の遂行だからね、あの男の子孫を使えれば良し」

 そこには明らかな憎悪が宿っていた。普段プレラーティ達が見る酷薄な表情とは違う、心の底から滲み出てくるどす黒い何かが見え隠れしていた。

「何を……お前は一体、何を目的としているワケダッ!」

 プレラーティは訳が分からなかった。今までただのロクデナシ、力だけが取り柄の厄介者でしかなかったアダムが、今はとても恐ろしい別の何かに見えて仕方がない。
 震えそうになる喉を律しながら、プレラーティが絞り出す様に問えばアダムは酷くシンプルな答えを口にした。

「思い知らせるのさ、奴に……人形を嘲笑う、あの男に……!」
「人形……?」

 アダムが口にした”人形”という単語に、プレラーティは最初彼の隣のティキを見た。しかし、ティキを嘲笑われて果たしてアダムがここまでの怒りを露にするだろうか?

 己の内に湧き上がった疑問を消化する前に、アダムの錬金術がプレラーティを襲った。

「くッ!?」

 咄嗟に回避した彼女だったが、その際に持っていたカエルのぬいぐるみが真っ二つに切り裂かれた。綿が飛び出すぬいぐるみに彼女は慌てて手を突っ込み、中に入れてあるファウストローブのスペルキャスターを引っ張り出しながら屋上の縁へと駆けて行きそのまま飛び降りた。

 飛び降りる最中にファウストローブを纏った彼女は、真下にあった車を踏みつぶしながら更に跳躍しスペルキャスターのけん玉を変形させた車両に跨り他の車を跳ね除けながら疾走した。

「逃げたッ! きっとサンジェルマンにチクるつもりだよッ! どうしようッ!?」

 このままだと計画遂行に問題が生じる。何とかしなければと騒ぐティキだったが、対するアダムは落ち着いた様子だった。

「狩りたてるのは、任せるとしよう……シンフォギア達に」




***




「錬金術師がッ!?」

 プレラーティが高速道路を爆走していると言う情報はすぐさまS.O.N.G.の知る所となった。なりふり構わず人目の多い中を、被害を出しながら爆走していればすぐさま見つかるのは当然の事である。

『新川越バイパスを猛スピードで北上中ッ!』
『付近への被害甚大ッ! このまま、住宅地に差し掛かる事があれば……』

 本部からの情報は寝ていたところを叩き起こされた響達の耳にも入った。彼女
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