夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 最終話
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討ちに遭っていた。
例えレイラ自身に殺意が無くとも、アスモデイのパワーなら「マス・ライダー軽装型」の強化服など紙切れも同然。ヘレンは自らの正義感に殺され、無惨な肉塊と化していたに違いない。縁としては単に不都合な真実を隠蔽したに過ぎないのだが、それが結果としてヘレンの命を救うことにも繋がっていたのである。
(「悪魔の仮面ライダー」……そんなもの、私は認めない。「仮面ライダー」は人間の自由と平和を守護する、スーパーヒーローの称号なのよ。それをこんなっ……許せないわ、絶対に)
仮面ライダーAPに救われて以来、「仮面ライダー」という称号を神聖視して来たヘレンにとって、アスモデイの凶行は到底許せないものだったのだろう。どんな理由があろうと、ノバシェードの敵であろうと、人類の味方ではないというのなら容赦はしない。そんな愚直なまでの高潔さが、蒼い双眸に顕れている。己が「幸運」によって生かされている身であることを知らぬまま、ヘレンは真っ直ぐな瞳でノバシェード関連の事件を調査し続けていた。
――だが。そんな彼女の真後ろ。1枚のガラス壁を隔てた先に建っている、隣のビルの屋上では。
「へへ……ついに見つけたぜ、ヘレン・アーヴィング。あのシャドーフォートレス島を壊滅させた張本人ッ……!」
ケージやオルバスの眼から逃れていたノバシェード構成員の生き残りが、ヘレンの後頭部を狙って狙撃銃を構えていた。どうやら同胞である蜘蛛型怪人の暴走に乗じて、ここまで忍び込んでいたらしい。
「この距離なら外す方が難しいぜ……! 仮面ライダーでもねぇ雌豚の分際で、俺達ノバシェードに楯突くとどうなるか……その命で思い知らせてやるッ!」
シャドーフォートレス島を壊滅させた張本人であるヘレンも、ノバシェードにとっては憎い仇敵の1人なのだ。構成員は憎悪を込めた眼差しでヘレンの頭部に狙いを定め、引き金に指を掛けている。
改造人間用に強化された狙撃銃の威力なら、対策室製の防弾ガラスなど簡単に貫通する。ヘレンは何が起きたのかも分からないまま、冷たい骸と化すだろう。その光景を現実のものとするべく、構成員は指先に力を込め、引き金を引こうとする。
「くたばりやがれ、乳牛女ッ――!?」
そして――それよりも疾く。狙撃銃を構えていた構成員は悲鳴を上げる間も無く、物言わぬ骸と化した。
突如真横から突き出された「三叉の槍」が、彼の頭部を真横から貫いたのである。あまりの速さに、構成員は声も出なかった。
まるでヘレンに対して行われようとしていたことが、そのまま返って来たかのようであった。蒼と銀の装甲を纏う、女性型の「仮面ライダー」。その「刺客」に頭部を貫かれた構成員は断末魔すら上げられず、身体を持ち上げられていた。
「……」
その時。先
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