夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 最終話
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ートの幻影といい。新世代ライダーでも対策室でもない謎の存在は間違いなく、「裏」で動き始めている。対策室の捜査網でも捕捉し切れないほどの「何か」が、水面下で蠢いている。その「影」を肌で感じていたヘレンは、表情を強張らせていた。
(あの北欧某国の英雄……ジークフリート・マルコシアン大佐が属していた過激派組織なら、すでに仮面ライダー達によって壊滅させられている。しかしあの組織が潰されてからも、各地で奇妙な事件は起き続けている……。やはり……新世代ライダーや私達以外の誰かが、ノバシェードと戦い続けているのね。それも仮面ライダーと同等、あるいはそれ以上の力を持った誰かが……!)
今から約4ヶ月前となる、2020年8月某日。その頃には、改造人間の殲滅を掲げていた過激派組織が、とある仮面ライダー達の手によって壊滅させられていた。北欧某国の英雄であるジークフリート・マルコシアン大佐が、軍事顧問を務めていたという組織だ。その組織が潰えた今も、得体の知れない「影」は世界各地で見え隠れしている。気を許してはならない相手はノバシェードだけではないのだと、ヘレンは独り気を引き締めていた。
「……」
そんな彼女は再び、同僚が担当していた怪事件の記録に目を通して行く。この事件が周囲に残した「爪痕」の深さを知るヘレンは、悔しげに口元を歪めていた。
(例の襲撃事件の現場を目撃した捜査官のほとんどは、PTSDを発症して現場への復帰が困難になっている。……確かに、ノバシェードの敵だというのなら私達と利害は一致しているのかも知れない。けれど……その巻き添えで多くの人々を傷付けているのなら、私達はそれを許すわけには行かないわ)
一見すればノバシェードを攻撃している、頼もしい味方のようにも見えるが。その実態は不明瞭であり、こちら側に何らかの2次被害が及んでいるケースさえあるのだ。人類の秩序を重んじる特務捜査官の立場として、如何なる事情があろうとも彼らの行動を許容するわけには行かない。
それが悪魔の力を模した凶戦士の仕業であることなど知らないヘレンは、キーボードを叩きながら独り静かに特務捜査官としての正義感に燃えていた。ジャスティアタイプ32番機「アスモデイ」。その力で殺戮の限りを尽くした「仮面ライダーアスモデイ」こと暁月レイラの恐ろしさを知らぬまま、ヘレンは神妙な面持ちで事件の記録を調べ続けている。
一光博士の助手にして側近でもある、亜灰縁。彼女による情報操作さえ無ければ、ヘレンはとうにアスモデイの実態と暁月レイラの動向を突き止めていたのだろう。だが、この件に限ってはこれで正しかったのだ。もし真相を知ったヘレンがレイラを捕まえようとしていたら、彼女は間違いなく一瞬で返り
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