第百二十七話 告白その四
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「いい場所見付けたんです」
「あそこなんだ」
「私達警視庁にいまして」
こちらに所属していてというのだ。
「都内の何処に転勤してもおかしくないですね」
「ああ、それな」
近藤もそれはと答えた。
「今は一緒に渋谷署にいるけれど」
「どうなるかわからないですね」
「お互い何処に転勤になるか」
「都内なら交通の便いいですから」
「山の手線も地下鉄も私鉄もあってな」
「ですから都内なら結構何処でも行き来しやすいですから」
交通の便が発達していてというのだ。
「杉並区でもいいですね」
「ああ、ただそれは」
「物件によりますね」
「うん、それでどんな物件か」
「デートで横浜スタジアムと中華街に行って」
近藤はまたこの話をした。
「それで」
「その帰りに」
「はい、お話しましょう」
「いいね、それで日をあらためて」
「その物件観に行きましょう」
「そうしようか」
「いいですね、お部屋にはヒヤシンスも飾って」
近藤の好きな花もというのだ。
「奇麗にしましょう」
「それいいな」
「そうですよね」
二人でにこやかに話していた、距離は話す間に徐々に近付いている感じだった、そうしたものを見てだった。
咲は無言で交番の前を後にした、最初から最後まで彼女は二人に見られることはなく当然気付かれてもいなかった。
そしてだ、咲はその足で喫茶店に入ったがマスターの前のカウンターの席に無言で座った。するとだった。
マスターは彼女にだ、こう言った。
「ハンバーガーとお握りは食いな」
「私がですか」
「自分に買ったと思ってな」
そのうえでというのだ。
「そうしな、あとベルトはな」
「それは、ですか」
「誰か親戚にでもな」
「あげることですね」
「適当な理由付けてな」
そうしてというのだ。
「そうするんだよ」
「そうですか」
「ただいつも会う人にはな」
そうした親戚即ち身内の人にはというのだ。
「あげるなよ」
「よく見ることになるからですね」
「見たら思い出すだろ」
何を思い出すかは言わなかった、敢えて。
「だからな」
「それで、ですね」
「身近な人にはあげないでな」
それでというのだ。
「他のそうは会わないな」
「男の人の親戚の人にですね」
「あげなよ」
「そうします」
咲はマスターの言葉に頷いた。
「ベルトは」
「喰いものは食ったらなくなるだろ」
「だから食べるといいですね」
「それでなくすんだ、捨てるのはな」
それはというと。
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